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#26 ページ26

side龍友

ポロポロと涙を零す涼太は何も言わない。

どこを見ているのかわからず、涼太の瞳から感情など、一切読めなかった。


龍「りょーたぁー?」


優しく声をかけながら頭、そして背中をさする。

だけど、何も反応しない。



今、何を考えている?


少し前までなら、ある程度はわかったはずなのに。
今は全くわからない。



龍「なぁ、りょーた。こっち見てよ」


何度呼びかけても、変わらない。


結局そのまま夜になってしまって。

涼太が眠ったことを確認してから、僕もベッドに頭を預けて眠った。






涼「っ…くっ……」


龍「ん…」



聞き慣れない音が聞こえて、ゆっくり目を覚ます。


涼「ひゅっ………ひゅっ…」

龍「りょーたっ!?」


その音が涼太のものであるということに気が付くと同時に、慌てて部屋の電気を付ける。


龍「なんでっ…」


涼太を見て、思わず目を見開く。



ベッドに横たわる涼太は荒々しい呼吸を繰り返していて、苦しそうに胸元を抑えている。

そして何故か、口元にあったはずの酸素マスクがない。


とにかくナースコールを押しながら、酸素マスクを探す。

龍「コードか、」

慌てすぎてコードの存在を忘れていることに気が付き、焦る気持ちをなんとか抑えながらコードを辿る。


カシャン…


龍「あった…!」


手元に来た酸素マスクを急いで涼太に付けようと口元に近付けた瞬間。


バシッ!

勢いよく振り払われた手。思わずマスクを落としてしまう。


龍「…えっ?」


苦しいはずなのに。辛いはずなのに。
拒否されたんだ。



涼「はっ、ひゅっ…………」



ガラガラガラッ!

医者「片寄さん、わかりますかー?まず落ち着きましょうねー」


ナース「すみません、外でお待ちください」


そう言われて部屋から追い出される。

だけど開いたままのドアから、中の様子がはっきりと見えた。


看護師さんが声をかけながら何度も涼太に酸素マスクを付けようと試みるが、その度に振り払ってしまう。







龍「……えっ…?」





胸元を抑えて苦しそうに何度も浅い呼吸を繰り返して。
酸素マスクを振り払って。
そして。


ピタリとも動かなくなって。


ピーーーッ


龍「な、に、?」


よく分からない機械音が鳴り響いて。


医者「心肺蘇生っ!」






心肺蘇生…?

ということは、今の涼太の心臓は…

止まってるってこと…?


龍「嘘やん…涼太っ!」

気付けばここが病院だということも忘れ、思いっきり叫んでいた。

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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年4月1日 21時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 続編も楽しみにしてます(*´∀`) (2020年4月1日 17時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» お仕事お疲れさまです!そう言って頂けるととても嬉しいです!できるだけたくさん更新できるよう頑張ります! (2020年3月9日 16時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 今、仕事がすごく忙しくて(;_;)このお話読むのが1つの息抜きです(;_;)更新ありがとうございます!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» コメントありがとうございます!今まであまり末っ子を出せなくてすみませんでした…これからはもう少しバランスよくだせるように頑張ります! (2020年2月2日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:npagxp | 作成日時:2020年1月19日 10時

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