そばに居るから。

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side亜嵐


玲「涼太くん、スタッフさんと話してるから後でかえってくるー」


少し前に涼太と共に楽屋を出ていった玲於が帰ってきてそう言った。


亜「りょーかい」


なんていうかさ、最近多いんだよね、こういうこと。


この前も涼太がスタッフさんに呼ばれて少しの間いなかった。


本人は打ち合わせだって言ってるけど…

今の時期、そんなに何度も打ち合わせしなきゃいけないことなんてないよね？


疑問ばかりが募る。

いや、何もないならいいんだけどね。

ほんとに、何もないんだよね？



涼太を信じたい。というか、信じている。

だけどさ、帰ってきたかと思えばどこか疲れきってるみたいだし。
ため息も多いし。
元気なフリをしているみたいというか。


やっぱりそういう事が続いちゃうと心配になっちゃうよね。


龍「またか、」

亜「なんか多いよね、」


龍友くんが呟いた。
やっぱりみんなも感じているよね。

メ「けど涼太は何もないって言っちゃってるからね…」


そう、そこが問題。

涼太が何もないって否定しちゃってるからには、変に掘りすぎることもできない。



ガチャ


涼「……」

亜「お、おかえり」

GENE「おかえりー！」


涼「あ、ただいま、」


無言で楽屋に入ってきた涼太。俺らが声をかけると、驚いたようにこちらを見てそう言った。


びっくりした、なんて笑ってる涼太。だけど、やっぱりどこか疲れた顔をしていて。

なんとなく、顔色も悪いような気がして。


亜「りょーた。しんどくない？」

そう声をかける。

その瞬間。

ぴたり、と涼太の動きが止まった気がした。


涼「ん？大丈夫だよ」

気のせいだったのかなと思うくらい笑顔で答えた涼太。だけどその笑顔すら、貼り付けたようにしか見えなくて。


龍「りょーた、熱あるのは事実なんやから。しんどかったら言うんやで？」

涼「ん」


龍友くんの言葉に短く返事を返した涼太。





ねぇ、涼太。

行動の全てがゆっくりなのは、体調が悪いから？
それとも、何か別の理由があるの？

聞きたくて、喉元まで出かかっている言葉、疑問。


だけど。

何もないよって笑う涼太を見ていると、それは飲み込むしかなくて。




裕「よっしゃ、とりあえずやろか」



とりあえず、予定通りリハをすることに。


隼「涼太くんこっちー！」

玲「涼太くんは俺と行くんだよ！」

涼「ふたりとも一緒に行くよー」


なんて無邪気な弟3人を見つめる。


愛おしくてたまらない背中を、ずっと見ていた。

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