#36 ページ36
side亜嵐
涼太が目を覚まさないまま夜になって、ついさっきまではみんな起きていたのが、仕事での疲れもあってみんな寝てしまった。
涼「んっ、」
亜「あれ、起きた？」
俺もうとうとし始めた頃、涼太が薄く目を開いた。
涼「あ、らん、くん」
亜「うん、そうだよ。涼太、しんどくない？痛いところない？」
涼「なんでっ…いるのっ…」
小さく呟く涼太。
亜「涼太が心配で飛んできちゃった」
そう言って笑ってみせる。
涼「帰ってよ…」
涼太もつられて笑ってくれるかな、なんて考えはあっさり裏切られ。冷たく言い放つ涼太は何を見ているかわからなかった。
亜「りょーた、俺を見てよ。ね？」
そう言ってなんとか目を合わせようと涼太の顔を覗き込む。
涼「こんな所にっ…いちゃダメなんだよっ…」
亜「なん、で？」
涼太のほっぺたに添えたはずの俺の手はするりと避けられ、泣きそうなその声に思わず声が震える。
涼「俺はっ…いない方がいい…？」
亜「え…そんなわけないじゃん」
思いがけない言葉に、俺の顔から笑顔が崩れ落ちたのが自分でもわかった。
涼太が壊れそうで、消えてしまいそうで、怖くて仕方がなかった。
亜「涼太は俺にとって…大切な弟だよ。」
涼「でもっ…」
亜「お願いっ…お願いだからっ…俺らの前からっ…居なくならないでっ…」
自分でも驚くほどの震えた声。頬には涙が伝っているのがわかった。
消えないで。
手の届く所にいて。
涼「なんでっ…泣くの…」
そう言う涼太も泣いていた。
亜「俺らのために生きてよっ…」
それが、俺たちのたったひとつの願い。
亜「何でもする。涼太のためならっ…何でも出来るからっ…！」
溢れ出る涙を拭うことなく、この想いが涼太に届くように必死に伝える。
涼「俺はっ…生きてていいのっ…？」
亜「いいに決まってんじゃん…むしろ、生きててくれなきゃ困るんだよっ！」
涼「あらっ、くんっ、」
俺に向かって手を伸ばす涼太が愛おしくて。
愛おしくて、可愛くてたまらない弟の、空中を彷徨う手をしっかりと握る。そして力いっぱい抱きしめる。
涼「あのね？」
俺の胸に顔を埋めたまま話し始めた涼太。
涼「痛いのっ…傍にいてっ…いい子にするからっ…殴らないでっ…」
"殴らないで"
それは涼太の心の叫びだった。
亜「絶対隣で守るから。もう離さない、俺らが涼太を傷付けさせないよっ」
これは涼太からのSOS。
次は俺らの番。
ちゃんと守るから。
俺らが戦うから。
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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます！ (2020年4月1日 21時) (
レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 続編も楽しみにしてます(*´∀｀) (2020年4月1日 17時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» お仕事お疲れさまです！そう言って頂けるととても嬉しいです！できるだけたくさん更新できるよう頑張ります！ (2020年3月9日 16時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 今、仕事がすごく忙しくて(;_;)このお話読むのが１つの息抜きです(;_;)更新ありがとうございます!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» コメントありがとうございます！今まであまり末っ子を出せなくてすみませんでした…これからはもう少しバランスよくだせるように頑張ります！ (2020年2月2日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：npagxp | 作成日時：2020年1月19日 10時
