NPO－なにわ男子－ (ページ33)

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困っている人の依頼を誰に割り振るのか、決めるのは俺の仕事になりつつある。

だからといって、向こうでの活動をしないわけでもないから、自分で言うのもなんやけど、まあまあ働いている方やと思う。

サラリーマンでいう中間管理職やろうか…

まあ、今となっては経験できんものやから、ありがたいと思うことにする。

「じょぉくーん！」

「なに？」

顔を膨らませて怒った流星が来る。

「やっぱり大橋くんと一緒なん嫌です〜
この人ほんまデリカシーないんやもん」

「そんなことないって！
流星落ち込んでたから励まそ思ったんやん！」

「やからそれが逆効果や言うてんねん！」

やいやい言う部下を宥め、今度からはこの2人がダブらんようにシフトを組む。

やっぱりまだ平社員がいい。

『ごめん、遅くなった！』

『また残業？』

『うん…ほんまごめんって、』

入社して2年、

まだまだ要領よく仕事をこなせない俺は、いつも待ち合わせに遅刻して謝っていた。

『ならいっその事別れる？』

『は！？』

『冗談だよ(笑)』

『よかったぁ〜…』

『別れないよ。
だって、丈は私がいないとなんにもできないんだもん。』

そう言って、立ち止まった俺を置いて少し前を歩いていた彼女が振り返った光景は、何故かめちゃくちゃ儚く見えたのを覚えている。

まあ、実際儚く死んだんは俺の方やったけど。

そう。

彼女がおらんとなんにも出来んかったんは俺。

壊滅的に苦手な料理、掃除片付けはもちろん、

休みの日やって、彼女がおらんかったら一日中家から出ることもなく、だらだらと過ごしていただろうし、

散々ダサいと言われ続けたファッションセンスも、彼女がアドバイスしてくれるようになってまあそれなりになったし、

やから過言なんかやなく、ほんまに俺の人生は彼女なしでは過ごせへんかった。

一方、彼女の方はそうでもなく、別に俺が遅刻しても、しょうがないなぁ、その程度。

俺がおらんくても1人で生きていける、たくましいタイプ。

まあ、美人やしなんでも出来るから、間違えなく俺の次は見つかってるやろうけど、幸せになってくれてるやろうし、そこまで大きな心残りはなかったはず。

やから、入ってきた依頼者の名前に目を奪われたものの、依頼内容を見て、ただの同姓同名やと片付けたのに

実際任務に向かった前にいたのは、間違えなく、彼女、本人やった。