NPO－なにわ男子－ (ページ29)

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・-Kyohei- ページ29

親からの愛情を受けたことがない。

出来のいい兄弟とすぐ比べられて、お前は出来損ないと手をあげられ続けてきた少年時代。

中学を卒業する時に半ば強引に家を出て働いたものの中卒でまともにつける仕事なんかなくて、人からは1年遅れて入学した高校。

この世の中に、誰も俺の味方なんておらんと18歳にして人生を諦めていた。

そんな中、一匹狼って言ったら、響きがいいけど、人見知りやのにガン飛ばして、つまり友だちがおらんかった俺に初めて話してくれたのは、隣の席のまあ普通の女の子。

仲良くなって、でも大事やからこれ以上踏み込みたくないっていう気持ちが、恋だと気づくまでに長い時間を要して。

やっと、彼女になったあの子との時間はほんまに一瞬やった。

彼女は昼学校、俺は夜仕事のすれ違いの生活やったけど、出勤前に待ち合わせてデートしたり、週末は預けた合鍵で泊まりに来てくれたり、ほんまに幸せやった。

夢の国で珍しく積極的に俺の手を引いて歩く彼女が眩しくて。
…また行こなって約束したのに、連れてってやれんかったなぁ。なんて

別れを告げた日のことは今でも思い出せる。

俺によく懐いていた彼女の飼い犬に会いに行って…
そやなぁ
あいつは、俺がもし天国に行ったら覚えててくれるやろうか。

別れてホストになって、
場所も東京から大阪に戻したのに1年後

再会した俺たちの関係は、患者と看護師。

彼女は俺がプレゼントした腕時計を身につけて、夢を叶えて看護師として働いていた。

まあその日が俺の人生最後の日になるんやけど、今思い返せばそうか…

俺が人生最後に会話したのは、彼女なのか。

やはり彼女は哀しく短い俺の人生を語る上で、欠かせない存在やった。

愛を知らん俺に、愛を与えてくれて、これが愛なんだと教えてくれたのは確かに彼女。