罪 ページ10
八方斎「そうか?ならいいのだが」
八方斎「そんなことより、よくやった!素晴らしい強さだ!」
八方斎様はとてもお喜びになられて、風鬼さんと雨鬼さんは少し引いているようにも見えた。
『ありがとうございます。光栄です』
八方斎「お前がこのドクタケに加入してそろそろ二週間。今やドクタケの中ではお前が一番の実力者だろう」
『それは言い過ぎなのでは?』
八方斎「いや、言い過ぎではない。お前はたった二週間でとても強くなった。儂は誇らしいぞ」
『えへへ、…』
素直に褒められるとくすぐったい。嬉しかった。
八方斎「もう頃合いかもしれんな」
風「何のですか?」
八方斎「忍術学園を攻めるのにだ」
『忍術学園………』
そうだ。私は主に忍術学園を倒す為に訓練してきた。
世を乱す忍術学園。
私は、その為に…
八方斎「A。お前が先を取れ」
『え?私がですか?でも…』
八方斎「お前なら大丈夫だ。信じている」
、
『分かりました。私、全力を尽くします』
私が受け入れると、大きく頷いた。
八方斎「よし!明日だ!明日忍術学園へ向かう!」
風、雨「おお!」
八方斎「Aも今日は直ぐに休め。明日はお前が活躍するのだからな」
『はい』
帰路。
私は少し其の場に留まった。
「少ししたら直ぐ追いかけます」
八方斎様にそう伝え、後のお二人とお城へ帰っていった。
周りを見渡すと、辺りに転がる何人もの人間。
どれも動かない。背中も膨らまない。何も聞こえない。
誰も彼も何処かしら赤で濡れている。
ふと、自分の利き手に目をやった。
『っ......!?』
無自覚だった。乾いたところもあれば、まだ光っている血液を浴びて染まった手。今に気付いた。
先程まではこの赤を見ても何も思わなかったのに。
その手は...…酷く震えていた。
ボト
『......え...ほんとに......?』
本当に私がこれをやったの…?
苦無を落とし、膝も落とした。
揺らしても揺らしても起きない身体。
声を掛けても震えない瞼。
力無くして項垂れた腕は、持ち上げても重い音をさせて地面に落ちてしまう。
そんな身体が幾つも、私の眼前には伏していた。
罪悪感に浸かった。吐き気を催し目を逸らす。
自分で作った恐怖に耐え兼ねた。
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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時