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八方斎「そうか?ならいいのだが」

八方斎「そんなことより、よくやった!素晴らしい強さだ!」


八方斎様はとてもお喜びになられて、風鬼さんと雨鬼さんは少し引いているようにも見えた。


『ありがとうございます。光栄です』

八方斎「お前がこのドクタケに加入してそろそろ二週間。今やドクタケの中ではお前が一番の実力者だろう」

『それは言い過ぎなのでは?』

八方斎「いや、言い過ぎではない。お前はたった二週間でとても強くなった。儂は誇らしいぞ」

『えへへ、…』


素直に褒められるとくすぐったい。嬉しかった。


八方斎「もう頃合いかもしれんな」

風「何のですか?」

八方斎「忍術学園を攻めるのにだ」

『忍術学園………』


そうだ。私は主に忍術学園を倒す為に訓練してきた。

世を乱す忍術学園。

私は、その為に…


八方斎「A。お前が先を取れ」

『え?私がですか?でも…』

八方斎「お前なら大丈夫だ。信じている」



『分かりました。私、全力を尽くします』


私が受け入れると、大きく頷いた。


八方斎「よし!明日だ!明日忍術学園へ向かう!」

風、雨「おお!」

八方斎「Aも今日は直ぐに休め。明日はお前が活躍するのだからな」

『はい』


帰路。

私は少し其の場に留まった。

「少ししたら直ぐ追いかけます」
八方斎様にそう伝え、後のお二人とお城へ帰っていった。



周りを見渡すと、辺りに転がる何人もの人間。

どれも動かない。背中も膨らまない。何も聞こえない。

誰も彼も何処かしら赤で濡れている。

ふと、自分の利き手に目をやった。


『っ......!?』


無自覚だった。乾いたところもあれば、まだ光っている血液を浴びて染まった手。今に気付いた。

先程まではこの赤を見ても何も思わなかったのに。


その手は...…酷く震えていた。




ボト




『......え...ほんとに......?』


本当に私がこれをやったの…?


苦無を落とし、膝も落とした。

揺らしても揺らしても起きない身体。
声を掛けても震えない瞼。
力無くして項垂れた腕は、持ち上げても重い音をさせて地面に落ちてしまう。

そんな身体が幾つも、私の眼前には伏していた。


罪悪感に浸かった。吐き気を催し目を逸らす。
自分で作った恐怖に耐え兼ねた。

偲→←赤



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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