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ページ8

八方斎「もしかしたら体験することで変わるかもしれんしな」









私の初めての忍務の時がやってきた。


森の開けたところ。陰に隠れた私と八方斎様。後ろには風鬼さんと雨鬼さんも同行している。

前では何人もの忍者が集まっており、何やら話している様子だった。

八方斎様が私の耳を打つ。


八方斎「奴らを全員始末するのだ。其れがお前の忍務だ。いいな」

『はい、八方斎様』


私は八方斎に頷き、もっと近付く為別の茂みに一人移動した。


風「八方斎様、いくらなんでもこの人数を一人で相手するのは無茶ですよ…」

八方斎「これは試しだ。もし成功すれば彼女はかなり良き人材だ」

雨「失敗すれば?」

八方斎「……諦める」


少し様子を伺った。どうやら私には気付いていない。

どう出るか迷い、八方斎様の方へ目を向けようと思ったが首を座り直し、前を向いて立ち上がった。


忍「誰だッ…!」


一斉に私を見る。


忍「なんだ、娘か」

忍「脅かしやがって。…」


一度は肩の力を抜いたようだが、私の身なりを見直し、また力が戻ったように見えた。


忍「うん?お前…ドクタケ忍者…!!」


赤色のこの装束を見て彼らは武器を構えた。
まだ私が女であることから油断しているようにも思えるが、目の色が明らかに鋭い色へと変わっている。


忍「おい娘、お前ドクタケ忍者なのか?女が居るとは聞いたことがない」

忍「それにまだ年端もいかな」







ザシュッ







忍「い……」









ッ___









忍「お、おい…?」


一人が何も言わずに倒れ、仲間たちが動揺する。一方Aも何も言わずに佇んでいた。

何か違うと言えば、いつの間にか手に握っていた苦無に血が滴っていたことだ。


其の場にいた全員が目を見開き、息を呑んだ。

そして全員の視線がAだけに突き刺さる。


忍「お前…!!!」

忍「くそ…っ!!なんて娘だっっ!!」


怒りを顕にしながらも、ほんの一瞬で娘に一人が殺られたという事実を目の当たりにし、震えを隠せていなかった。

口を閉ざしたままAが振り返る。


殆ど勢い任せだった。

正直怖かった。

でも八方斎様が喜んでくださると思えば、簡単なことだった。

気付いた時には彼の間をすり抜け、背を向けていた。

後ろで重いものから力が抜け落ちる音がして、私は確信した。






人を殺めた





と。

赤→←情



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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