想 ページ44
『みんなと居る時間』
『楽しい時間程直ぐに終わっちゃうでしょ、だからもっと一緒に居る時間を増やしたい。今日みたいな』
六年生の表情は変わらなかった。それが面白くて、私は少し照れくさく笑う。
『伝わってるか分からないけど、多分みんなが想像する以上、私はあなたたちのことが好きだから』
何故か、今｢好き｣ということを伝えるのに恥じらいなんて少しも無かった。
ただ、こうやって明け透けに伝えたことはなかったなと、だから今、感謝と一緒に伝えた。
『固まらないでよ。みんな変な顔』
文｢お、お前が変なこと言うからだろう…！｣
仙｢こんな道の真ん中で何を言い出すんだ…｣
長｢照れくさい…｣
小｢私も好きだぞ！！｣
伊｢急に言うからなんて返せばいいか｣
留｢俺も分からん…｣
私の背中を押して足を歩かせて、多分照れ隠しだろうから何も触れずに笑って従った。
伊｢でも結局何を買えばいいのか分からない！｣
『いいの！みんなと居れるだけで十分なの！』
まだみんなはあれこれ聞いてくる。
気が晴れないと言われてしまったから、お店で見つけたものの中から選ぶことにした。
そしてその足は流れるように評判の良いうどん屋さんに誘導される。
仙｢まあいい、先に腹拵えしよう｣
文｢じゃあその後甘味処でも行って、｣
小｢買い物するか！！｣
『うん！楽しみ…！』
私が笑うと六人も嬉しそうに微笑みを返してくれる。まるで子供を見守るように温かく。
伊｢あんなに楽しそうにしてくれて良かったね｣
留｢そうだな。まだできることは数あるな｣
長｢今まで通りの笑顔で安心した｣
私も実は今になって滲んだ恥ずかしさを誤魔化していた。
あの時どうしようもなくああ言いたくて、昂る気持ちを露骨に出してしまった結果だ。
本当はもっと言いたいことがあった。
でも言えない。"ずっと一緒に居て"なんて、私がその約束を守れないかもしれないから。
何時終わるか分からないこの時間。
どれだけ楽しんだって、どれだけ言葉を紡いだって、絶対後で後悔する。どんな形で終わろうとも、きっと今の日々が満足だったなんて一生思えない。そう言い切れる。
此処での幸せを感じ、
例え後悔することを知っていても、だからこそ今できる精一杯で、六年生や周りの人たちへ感謝と想いを伝えたい。
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作者名：ピーナッツ | 作成日時：2023年11月20日 7時
