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山田「お前たち、居るんだろう」


部屋から少し離れ、お互い認知していた六年生と対面する。

Aが眠れていないと思った六人も、部屋を訪れようとしていたのだ。


伊「先生、Aは」

山田「昼間笑顔を見せていたとはいえ、今回のことは彼女にとってあまりにも酷すぎることだ。やはり責任を重く感じてはいるが、今落ち着いた」

土井「少しの間は晴れないかもしれないが、きっとお前たちと居れば笑顔が増えるよ」


その言葉に頷く。考えることは皆同じだった。

昼間ずっと笑顔を絶やさなかった彼女だが、本当はまだ笑うことが辛かったことを察していた。
夜になって、一人になって、また涙を流してしまっているかもしれない。六人はそう考えていたのだ。


土井「明日からはきっと自然な笑顔が見れるよ」


部屋は訪れず、Aの笑顔を思い浮かべるだけだった。






_






眩しい。瞼の隙間から、明るい光が侵食してくる。

太陽はもう高い位置へとあることに気付き、私は思わず寝巻きのまま部屋を飛び出した。

慌ただしく廊下を走る。
でも、目的地を決めていないことに気付いた。


すると私を呼ぶ声が聞こえ、足を止める。


仙「よく眠れたようだな」

文「酷ぇ寝癖だ」

『も、もうお昼……!!寝坊した……!じゅ、授業…!』

仙「安心しろ、今日は休みだ」

『やす、やす、み…??』


私の髪を梳く仙蔵の言葉に肩を下ろす。

二人は何故か私服を着ていた。出かけるのだろうか。


文「お前も早く着替えてこい」

『え?』

仙「正門で待ってるぞ」

『ちょ、…』


私を置いてさっさと背を向けて行ってしまう。
引き留めようと伸ばした手を下ろし、部屋の引き出しを開けた。

腑に落ちないまま小袖に手を通し、軽く髪を結って部屋を後にする。







小「おう!来た来た!Aー!!」

『あれ?みんな揃ってる…』


い組の他にも全員が揃っていて、微笑ましく私を待ってくれている。

状況が分からず走らせていた足が段々と遅くなり、みんなの前に着くまでには殆ど歩行になっていた。


伊「久しぶりにAの小袖が見れたよ」


と、目を細めるだけで私の困惑した顔に気付いている筈なのに、何も教えてくれない伊作。


「行くか」と張り切る留三郎と、何処か楽しそうな五人の後に続き、門を潜る。
行ってらっしゃいと手を振る小松田さんにこくりと頭を下げて知った。

もう私の外出届けもとっくに出されていたことに。

快→←温



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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