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正直、気まずかった。


心配してくださって、私の言いたいことを聞きに来てくださったのだ。

いつの間にか顔を上げられなくなっていた。
私の悩みは酷い話だから。


『申し訳ありませんでした。……他に、何と申し上げればいいのか分かりません…』


昼間放った私の散々で無礼な言動に、どう謝ればいいのか分からなかった。

そんな私に首を振る。そして微笑んでまでくださったのだ。


山田「何を言うか。お前が謝ることは無い」

土井「あいつらも言っていただろう」


そして六年生たちと同じお言葉をかけてくださった。

あんなことがあったのに、失礼極まりない発言をしたのに、微塵も私を叱らない。


『山田先生…土井先生………』

『わたしは』


長い間が空いた。やはり簡単に言えることではなく、恐れで侵食されているよう。二人の先生からは少なくともそう見えた。

優しいお言葉を頂いても、私の中に消えないものがある。


ごめんなさい。

せっかくの優しいお言葉。気にするなと言ってくださることにとても感謝します。

でも、簡単に受け取れそうにありません。


だって私は



『人を殺してしまいました』



一瞬息が止まる。

Aの声がぷつりと切れ、露骨な震えが顕になっていた。
自責の念に苛まれ、其の身体は小さく見える。


まるで死ぬ間際のような恐怖感が、滔々と押し寄せる。
一つ二つで済まされない幾つもの命を亡きものにし、平気で此処に還るまで生きて。自分がしたことが恐ろしくて仕方がない。

自分には生きる資格が無いとまで思った。


『どうすればいいですか………なんて…聞く資格すら無い、ですね』

『言い訳なんてしないです。私がやりました…私が自分でやったんです。全部、私が悪いんです』


涙を噛み殺し、もう泣きたくなかった。泣いて許されることじゃないから。

私は此処に居るべきじゃない。
此処には居られない。
みんなを裏切るわけじゃないけれど、穢れた私はあの笑顔に(まみ)れた輪の中へは戻れない。


許してくださいと言うつもりもありません


でも私はそれを口に出して言うことができなかった。
図々しい。本当は何処かで許しを欲しがっているんだと、唇を噛んだ。


土井「A、お前の気持ちはよく分かってる。自分の罪を重く感じて辛いだろう。でもな、私たちの方で許すも許さないも言わないよ」

『……どういうことですか…?』


土井先生は悲しそうに微笑んだ。

温→←悶



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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