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彼女からの謝罪など、彼らには不必要なものだった。


小「もう謝るな。お前は何も悪くない」

仙「辛かったな…自分を責める必要なんて無いんだぞ…」


しゃくり上げて声と息がごちゃ混ぜになり、返したくても難しかった。みんなの言葉が優しすぎて、収まるのに時間がかかってしまった。


文「ほらもう泣くな。お前を酷い目に合わせる奴はもう居ない」

長「私たちが居るから」


うん、うん、と強く頷いた。

やっと自分で拭えるようになり、赤く腫れた目を懸命に開き、涙の流れが止まり始める。


留「伊作お前もだぞ」

伊「ぅ゙ぅ……っ」


まだ私を抱く腕を離そうとしなかったが、つつかれてやっと離れていった。


『わ、たし、っ、みん、なに、、ひど、ぃ、こ、と、』


でもしゃくりがまだ止まらない。上手く空気を吸えなくて、それでもちゃんと言いたくて、みんなの顔を真面に見られず、地面に向かって言葉を落とす。

酷くしゃがれた声だった。


留「気にするな、俺たちも気にしてない。あれくらいどうってことない、お前が無事ならそれでいいんだ」


心が痛む。優しい言葉を受け取れる権利があるのか、私は怖かった。


小「それにあれは本当のAじゃないしな!今のお前が本物で、今までのお前はお前じゃない。つまりお前は誰も傷付けてない!」

文「いいこと言うじゃんか」

長「小平太の言う通りだ」

『こへぃた………』


「細かいことは気にするな!」と笑う小平太が頭巾を被らない私の髪をくしゃくしゃにする。
止まり始めていた涙が、緩んだ涙腺からまた滲んでしまう。

間違いなく嬉し涙だった。

まだ鼻を啜り、優しい声色で伊作が言う。


伊「僕、ずっと見たかったんだ。Aの、Aらしい笑顔。……そろそろ見れるかな」


はっとして顔を上げると、みんなが微笑んでいた。なんて優しい眼差しだろうか。


……私も、ずっと目一杯に笑いたかった。



『うん………!




ありがとう……………!』


満開の笑顔に、もう濁りは無かった。

今までの冷酷さが嘘のよう。あれは演技だったのではないかと現実を疑ってしまう。

彼女の中に残る、辛く悲しい記憶は消すことができないかもしれない。それでも思い出させないようにすることなら、彼らにもできるだろう。本人たちもそう信じている。

安心していた。Aの笑顔に何ら変わりなくて。彼女が居ないことで笑う数が減っていた彼らも、久しぶりだった。彼女と同様、もしくはそれ以上に六年生も嬉しかった。

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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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