【忍たま】ちょっと夢見てきます。14 (ページ32)

今日:13 hit、昨日:42 hit、合計:6,687 hit

責ページ32

Aは会話に必死のあまり、自分がまた泣いていることに気付いていなかった。言われて初めて気付き、乱雑にぐいと袖で拭った。
そして地面を這うように視線を流す。

『違う…私は人殺しだ』

仙｢何故悪人を演じる。そんなに私らの側に居るのが嫌か。稚拙な悪役など捨てろA｣

『ｯ…演じてなんかないっ…！本当のことじゃんっ…！！』

拳を握りしめ癇癪で声が震える。

悪役じゃない。本当の悪人だ。
悪はドクタケだった…加勢した私はそれに等しい。

『あなたたちには分かんないよっ…！！人を手にかけた後で、利用されていたって知らされて…！！できるの？それで残りの人生を笑顔で生きることが…？』

『死んだ人はどう思うと思う？自分を殺した奴が、地面の上を歩いてること』

申し訳ない。そんなんじゃ済まされない。
死んだ人への償いなんて、そんなの無いんだよ。

死んで償えとか、生きることが償いだとか、私にとってそれは双方腑に落ちない。

私が死のうとも、生きて謝ろうとも、幾らそれらしい償いを積んでも彼らにはきっと届かない。

人を手にかけたのを責めて何が悪い

自分を嫌って何が悪い

『一緒になんて居たくない…っ！一人で充分…仲間なんて……どうせ見捨てるよ。 …私も、あなたたちも。これ以上辛い思いもしたくないし選択を間違えたくない。一人で居れば、誰も傷付けないで済む』

『誰とも関わらなければ、優しさも殺意も持つ必要を無くなる』

刃を手にした時、初め戸惑いはあったものの気付いたら消えていた。またそうやって命を潰してしまうのが怖かった。

『怖いの、自分が。本当の自分を川に落としてきて私は変わっちゃったの？その所為で人を殺しちゃったの？どう償えばいいの？私に生きてる価値はあるの？』

仙｢価値があるかはこの先生きて決めるんだ。未練があるなら、前を向くべきだ｣

『……そんなの』

長｢お前の所為じゃない。お前が川に落ちた時、助けたのが私たちだったら…｣

｢自分を責めないで｣

そう言おうとしたのを飲み込んだ。

今責めていいのは私だけだ。
何故あなたたちが悔いる。

あぁ、………これを彼らは優しいと言うのだろう。

『もう私を突き放してよ。人殺しだって指差して非難してよ。優しくされたら苦しくなる。前は陽の当たる日々を過ごしてたのかなって思い知らされて羨望しちゃう』

今の自分と比べてしまう。