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私は自分を落ち着かせるために振り返った。


『こへいたが跳んで思いっきりボールを打つの。とめさぶろうともんじろうがいつも怒ってた…せんぞうは呆れるし、いさくは救急箱を持ってて、ちょうじも、乗り気で』


瞬きをした後、ふと私は顔を顰めた。


『私、』


変なことを言った気がして、答える筈ないのに自分で自分に問い掛けた。


長「今お前が口にした名は誰のものだ」

『………………………………わからない』

留「ドクタケに居るのか……そんな奴ら…!」


ドクタケ忍者の皆さんの顔を思い出す。


違う。

あの人も違う。

あの人の名前は………違う、

この人も違う。


誰、誰なの、私は今なんて言った?どんな名前を口にした…?


『だれ………?』


目をあちこちに泳がせるAを前に、


六年生は己の名を叫んだ。



潮江文次郎____


立花仙蔵____


七松小平太____


中在家長次____


善法寺伊作____


食満留三郎____



『…………それが…………あなたたちの…名前…?』


何故か身体中に鳥肌が走った。

何処かで聞いたことあるような…そんな気がした。

あれ…でも、さっきから言っていたっけ…どうして今になって首を傾げるようになってしまったのだろう…

妙に名前が頭に張り付いて離れない。


動揺と混乱、焦りに襲われ蹌踉めくA。
其の様子を八方斎が黙っていることはない。


八方斎「やめんかっ!!」


嫌な予感を感じていた。彼女の様子から押し寄せる多大な不安。

八方斎が叫ぶ。

このままではまずい、予想外にも記憶を取り戻してしまう。と焦燥に駆られていた。

思い出してしまえば今まで培った全てが無駄になる。掴んだ好機を逃してしまう。
一度失くした記憶は戻らないと思っていた。しかしその思い込みが今、彼らによって壊されようとしていた。


対して六年生は、少しずつ記憶が戻りつつあるAに希望が見え始めた。


『…誰…だっけ……………』

伊「さっきお前が話していたのは僕たちなんだ!!自分でも言っていただろう…!」

八方斎「黙らんか小僧共が!!!儂の計画を台無しにする気かっ!!!」

仙「信じろA。私たちだ。お前をよく知っている。しつこく言うのは、それだけお前が大切だからだ」


息が荒くなっていく。苦しい。

静かな声に勝手に耳を傾けてしまう。

その言葉が、まるで私に手を差し伸ばしているように思えた。

惑→←逃



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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