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『そんな人間が居なくなれば、きっと戦をする必要なんて無くなるのに…』


『記憶が失くなる前の私に、楽しい記憶はあったのかな……』

『私に、…友達は………』


胸が苦しい。明確じゃない孤独を感じていた。



________いいや、違う。



誰か傍に居るのに、思い出せない自分が居る。
本当は隣に誰か座っているのに、私が思い出せないから、それを孤独として感じてしまっているのかもしれない。

目の前に居る六人を見るとそんな気持ちが膨らんで、自分がまるで欠陥品のようだった。


伊「お前の言う"楽しい"って何?今までどんなことをして、幸せを感じてきたんだい……?」


伊作の発言にAは眉を寄せ、口を閉じた。

勢いを鎮めた声色に、尖っているものの、彼女の威嚇が薄れていく。其の顔は何処か寂しそうだった。


留「ドクタケ領に居て楽しいことがあるのか…?仲間と言える仲間が居るのか?」

小「心からお前を笑わせてくれる奴は居るのか?本当は寂しいんじゃないのか」



瞼が一瞬痙攣した。



楽しいこと…あるに決まっている。日々楽しいが重なって、笑顔が絶えない賑やかな日々__


『特別なことが無くても毎日が楽しいよ…一緒にご飯を食べてる時が好き………そう。…私も含めて……七人(・・)でご飯を食べる時が…』


喧嘩をする時もあったけれど、色んな話を共有して、笑って、あの時間が大好きだ。


八方斎「お前たちそんな仲良しこよしで食べてたのか?」

風「え?俺たち殆どいつも別々で…なぁ雨鬼」

雨「ああ、偶に一緒に食うが七人でなんてそんな集まっては」

『え…?そんな筈…だって、ついこの間も……』


あんなに一緒に食べていたのに…どうして私だけ……
忘れることなんてできるわけないのに…

私にとっては大切な時間だったのに、ドクタケの皆さんにとっては直ぐに忘れてしまう程小さなことなのかと胸がちくりと痛んだ。


文「其奴は本当にドクタケの奴だったのか?お前と一緒に飯を食った奴は」

『え………?』


地面に目を向けていると、低い声で一人が私に問い掛けた。


『な、何言ってるの、当たり前じゃん…他に一緒に食べる人なんて居ないもの…』

仙「では何の話をした?何を笑った?」


『…後輩がああだとか、穴に落ちただとか、授業のこととか…………』

八方斎「な、何を言っている……?」

『…覚えてる……確かに…私の…記、憶…』

逃→←染



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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