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『やる…絶対やる……やりますから…』


周りの声を聞こえないようにする為、ずっと自分に言い聞かせていた。
また何かの拍子に襲ってきそうな頭痛に恐怖を覚えていた。
そんなことに身を縮ませている余裕は無いのに…

感情と一緒に苦無を握り、真っ直ぐ前を向いた。


逃げてはいけない。

そうやって自分を急き立てた。







シュルルッ__







『ッな………!?』


顔を上げると同時に身体に巻き付いたのは、一本の縄。思考する間に私を取り巻き、あっという間に動きが鈍くなった。


突然で何も抗えなかったことに驚き、瞬きする。

目で縄を辿っていけば、頬に傷を持つ彼に繋がっていた。
口を開かず、じっと私を見ている。何か言いたいことがあるように。


腕まで取り込まれ、締め付けられて自由が利かない。苦無で断ち切ろうとするも、縄がそうはさせまいと引き締まった。


伊「Aもうやめてくれ!お前は騙されてるんだ…!」

留「八方斎の言うことに耳を貸すなっ!!お前の情を良いように使い、お前を操ってんだっ!!」


六年生が私を囲い必死に何かを叫んでいる。最初から彼らは必死だった。私がどうとか八方斎様がどうとか、私には彼らが私を引き摺り込もうとしているようにしか思えなかった。

抗いたくても腕がこうでは体当たりぐらいしかできない。数の差で取り押さえられるのが目に見えるから、私は其の場から動けなかった。

しかしふと彼らの手に目をやると、誰一人武器を持ち合わせていないことに気付く。


本気で私を捕まえるだけだと言うのか…?


…そんなこと、見た目だけで信じられるわけがなかった。


『どうしてそんなに私に構うの!!なんでそんなに執着するの!!なんで叫ぶばかりで何もしてこないの!!』

文「だからっっ…!!俺たちは記憶を失ったお前を助けたいんだよっ!!俺たちは此処で過ごした仲だろう…っ!!」

『どうして…私が記憶を失くしたことを……』

仙「八方斎が言っていたっ…!お前は記憶を失い、ドクタケによって助けられたのだろう…!?川で溺れたお前は…!!」

文「だから俺たちはずっとこうしてお前を呼んでんだっ!!」

『川……?』


彼らは私が記憶を失っていることを知っていた。八方斎様が教えた……?何故態々そんなことを…


『ふふ………あはは……あはははっ』


無彩色な笑い声が辺りに響く。Aが此処に帰ってきてからの最初の笑い声は、彼らを不穏な空気にさせた。

黒く澱んで彼女らしくなかった。

恐→←変



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作者名:ピーナッツ | 作成日時:2023年11月20日 7時

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