恋人 は (( 猫かぶり。)) Nozomu.K

『 22 』 ページ23

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『だって、…… 不安なんやもん。皆に関係

バレたらあかんから恋人らしい事も出来ひん

し、同居が終わったら、ほんまに2人きりにな

ることも無くなるやろ ？


そんな不安を唯一シゲとともくんのダンスが

忘れさせてくれるねん。

…… やから、行った。』





素直に自分の思ってる事を伝えると、

悔しそうな表情をしたのんちゃんが顔を上げる。





「何で、こう上手くいかへんのかな ……

俺は、Aの為を思って、」


『…… 私の為って何、私の為を思って

のんちゃんは秘密にしてるん ？

私にとってそれはめっちゃ辛い事やねんで』


「A、」





呼びかけるのんちゃんの声に耳を持たないで

ツラツラと述べる口。


止めなきゃ、って頭では分かってるのに

どんどん余計な事を喋っていく。





『ほんまは、嫌なんやろ、皆に私が彼女って

思われるのが …… ！』





一番自分で口に出したくなかった言葉。


でも、それを口に出してしまえばもう、

止まらなかった。


奥に奥にしまい込んでいた不安の蓋が開き、

そこから溢れ出る私の本音。





「違う、Aっ、！！」


『私は特別可愛い訳やないし、人と違った

良い所もない。のんちゃんとは釣り合わへん

ただの凡人や』


「A、聞けって ！ 何で、分かってくれへんねん ……」





グッ、とのんちゃんに腕を掴まれた。

私を見つめる瞳はとても悲しげだった。



でも、私は。





『分かる訳ないやろ ！ のんちゃんが、

何考えてるのか …… ！ 分かりたくても、

分からへんよ …… ！！』





そんなのんちゃんの手を振り払った。





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