恋人 は (( 猫かぶり。)) Nozomu.K

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「また、歯磨き粉付いてる。」


『ぐ …… 痛い、痛い …… ！』





急に近付いてきたかと思えば親指でグイ、と

口元を拭われる。





「身なりぐらいちゃんとせえよ。

ただでさえ ……」


『はい、ストップ ！！ それ以上言うと傷付き

そうな気がします。やめてください。本能が

叫んでます。』





そう言うと、ふっ、とまた鼻で笑う。


かと思えば、整ったお顔がだんだん近づいて

来て、のんちゃんと私との隙間が無くなった

後、軽いリップ音が聞こえ、そして、離れた。





『な、…… な っ …… ！！』


「ふは、林檎みたいやな 笑 じゃ、俺先に行くわ ー」





うまく言葉が出ずに、顔に熱を集めてのんちゃん

を見る私とは対照的に、爽やかに微笑んで、

ポンと頭に手を置いて家を出て行ったのんちゃん。





今、今 …… っ ！！


やっぱり昨日のは夢やなかったんや。


私と、のんちゃんは、恋人 …… なんや。





紅潮させたまま、暫くその場で突っ立っている

と、私は今1番するべきことに気が付く。





『あかん、絶対遅刻やああああ ！！』









いつもとは、全く違う朝。





ただの同居人から恋人という一線を越えた

関係に1人ニヤニヤとしながら学校へ向かった。





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