【水溜りボンド】透明な君。【カンタ】

4話 ページ5

・


…何が起こったと思う？

いや特に何も無かったんだけど、俺がヒカキンさんとはじめさんの動画を見てたら……


『わ！HIKAKINさんとはじめしゃちょーさんだー！』


動画見るの久しぶりだなぁ！と嬉しそうに俺の横に座って一緒に見だしたのだ。

2人で大爆笑する姿がなんかこわい。(笑)

他の人から見たら俺一人で動画見てる普通の光景なんだけど……

女の子がいるんだよ横に！！！

俺の横に女の子がいることなんてなかなかない。

ほかの人には見えない女の子なんだけどね。


「…今まで動画見れてなかったんだよね？」

『うぇ？あ、はい…物に触れないのでテレビもパソコンもスマホも触れません』


そう言って悲しそうに笑う彼女が何だか可哀想に見えてしまった。

ただの同情心からこんなことを口にするだなんて思わなかった。


「…見たいの見ていいよ、俺が動画見たいやつに変えるから」


さっきまで無視してた奴が何を言う？と思うかな？

なんだか気まずくて目線を下げてしまった。

彼女には足があった。

裸足だった。


『…いいんですか？』

「いいって言ってんじゃん！恥ずかしいから早く見たいの言え！」


恥ずかしさについ大声を出してしまった。

トミーとかに聞かれてないかな？

そんなことを考えていたら女の子に笑われた。


『ありがとうかんたさん』


じゃあはじめしゃちょーさんのちょうど三ヵ月前の動画から見たいですー！って笑う女の子。

よく見ると…いやよく見なくても可愛い。

顔がね？顔がだよ？

性格とかまだよくわからないし…。

笑顔が好きなのかもしれない。

いや幽霊に対して何言ってんだろ。

生きてもないのに可愛い可愛くないとか関係ないじゃん。


Pｻﾝ「カンタくーん」

「おぉあっ、なに、なに？！」


幽霊と会話して考え事してるのがバレたのかと思って慌てて返事をしてしまった。

だが気づいてなかった場合この返事はただの頭おかしいヤツだよな。

…クソ(笑)


Pｻﾝ「カンタくんの荷物邪魔だから持ってって〜」

「え？俺全部持ってきたよ？」

Pｻﾝ「ごめんトミーだった！」


騒がしい奴だな。笑

何も突っ込まなかったけど気づいてないんだ。

よかった…。


『ねえかんたさん』

「ん？何？」


不意に名前を呼ばれ振り返れば、悲しそうな顔をした女の子が座っていた。

MacBookの光で体が透けて見える。


『何で私のこと無視し続けなかったの？』


何で…？

5話→←突然の人物紹介

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す