18話 ページ19
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何度1人で寂しい夜を越しただろうか。
4月4日。
3ヶ月ほど経った今でもまだ彼女は帰ってこなかった。
なんで?
シンプルな疑問で頭がいっぱいになりそうだ。
俺と一緒にいるのが嫌になった?
それにしても突然過ぎない?
寂しくて寂しくて俺は誕生日さえ忘れていた。
キイチ「カンタさん誕生日おめでとうございます」
マンズ「おめでとうございます」
Pサン「カンタくんおめでとう!」
俺が部屋を出れば後輩(Pさん含む)が祝ってくれた。
そう言えば、誕生日だったなぁ。
誕生日も会えないままなのか…。
今では触れないことより、会えないことの方がよっぽど辛かった。
会いたくてたまらなかった。
「おう、ありがとなー」
へら、と薄い笑みを浮かべればリビングへの階段を下った。
後ろからキイチの「カンタさんどうしたんすかね」という心配の声が聞こえたものの俺はどうしようもなかった。
埋めきれない心の穴を防ぎようもなく、ただ笑うことしか出来ない。
どうするのが正解なのだろう。
トミー「カンタ誕生日おめでとう」
「ありがとトミー」
トミーは俺に6回目の誕生日おめでとうを伝えてくれた。
つまりはトミーと出会ってそれくらい経つのだ。
時は早いものだ。
Aちゃんのことも忘れられたならいいのに、なんて。
忘れたくもないのにそんなことを思い込めば自分の下衆い所に笑いが出そうだった。
きっと彼女は悲しむんだろうか。
でも俺の前から消えたんだから悲しくないか。
考えててますます悲しくなった。
トミー「…カンタ」
「んー?」
心配しているような声と顔。
心配をかけていることに申し訳なさを覚えた。
トミー「カンタにプレゼント用意してんだけど、今大丈夫?」
「あ、いいよありがとう!」
いつもより優しく笑う相方は優しい。
気を遣ってくれる。
でも、気を遣わせている。
そんな中でも彼女が頭から離れないのだ。
ごめんね。
トミー「じゃあ玄関で待ってて」
「え?玄関?」
トミー「車から持ってくるわ」
恐らく、キイチの車に積んでるのであろう。
素直に頷き玄関で待つことにした。
毎年嬉しいプレゼントをくれるトミーだけど、今年は気分は浮かなかった。
だって、彼女がいないから。
会いたいのに、会えないから。
寂しくて押し潰されそうだった。
トミーが玄関から出たのを見て、ふ、と息を吐く。
どうかまた会えますように。
なんて女々しく願いながらトミーの帰りを待った。
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漆黒の翼をもつカリスマことレミリア・スカーレット - 投稿頑張ってください。応援してます更新楽しみにしてます! (2018年4月28日 18時) (レス) id: 64fa08433d (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - こまめさん» ありがとうございます;;;;切なさを精一杯表現していきますよろしくお願いします! (2018年4月20日 23時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - 素敵で切ないです(;o;)これからも楽しみにしてます♪ (2018年4月20日 23時) (レス) id: 15ff708b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まのん | 作成日時:2018年4月14日 3時