【水溜りボンド】透明な君。【カンタ】 (ページ18)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:12,376 hit

17話ページ18

・

________

4:06 何か女の子の笑い声聞こえない？

→本当だ…トミーしか画面にいないのに。

→マネージャーさん？幽霊？同居人？

____

そんなコメントで溢れ返っていた。

トミーもうわーほんとだ、となんとも言えない表情をしていた。

「…俺編集してても全然気づかなかった」

ﾄﾐｰ「まぁ急いでたしな」

この笑い声は、聞いてみると完全にAちゃんのもの。

どうしたらいいんだろう？

視聴者さんに幽霊が俺の横にいるだなんて言えないし…。

というか何で笑い声が映像に入ったのだろう？

姿が映っているわけではないのに…不思議。

ﾄﾐｰ「まぁ結構あるし気にしなくていいんじゃね」

「…そうだよな」

何で結構あるんだろう？

元の家でかなりの数心霊現象が起きている。

でもAちゃんは映像には映らないし、声だって今回が初めてだ。

本当に何故かわからない。

Pｻﾝ「めっちゃ入ってるじゃん」

ｷｲﾁ「俺撮影の時全然気づかなかったっす」

ﾏﾝｽﾞ「年近そうな声っすね」

何も知らないトミーや後輩達。

俺は撮影の時見られていたのだって知っているし、笑ってくれていたのも知っていた。

でも今まで動画に入ったことは無かったし…。

俺は何をしたらいいんだろう。

Aちゃんにどうするか聞こうかな…。

そう思って、俺はリビングから離れ自室へ向かった。

__

「Aちゃん～」

「あれ？Aちゃん？」

部屋にいなくて目を疑った。

今まで部屋から出たことはないのに…。

まぁでも、帰ってきてからでいいか。

すぐ帰ってくるだろう。

そう思って俺はベッドに入り、彼女を浮かべながら目を閉じた。

今日はよく笑ってくれたなぁ。

いつも優しく笑ってくれるなぁ。

俺がそっけなくても怒らないし、むしろ頑張ってね、って応援してくれる。

そんな彼女に完全に惹かれている。

早く会いたい、話したい。

そんなことを浮かべながら眠りについた。

___

朝。

寝惚け眼で部屋を見回した。

見たら、彼女がいると思ってた。

思っていただけで彼女はそこにはいなかった。

どこにいるんだろう？

「…Aちゃん」

小さく彼女の名前を呟けば、俺はもう一度眠った。

ここに居ない、なんていう記憶を消すために。