12話 ページ13
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『…みたいなことがあったんですよね』
3ヶ月の月日しか経っていないはずなのに笑いながら話してくれていた。
無理をしているのではないか。
俺はそれが不安でならなかった。
だって、俺なら辛くて辛くてたまらないことだから。
『だから、あの、水溜りボンドさんの動画のせいとかではないです!一切!断じて!』
私がYouTubeばっかり見てるから、と俯いた彼女の顔はやはり寂しげだった。
まったく悪いところは見当たらないのにな。
自分に対して否定的なところは俺に似ていた。
…というか、似てるんじゃない?
俺は自分に対して否定的だなんて思わないけど、トミーや視聴者さんによく言われる気がするのだ。
「A、ちゃんは強いね」
頑張ってるよね、と俺は言った。
こうやって辛いと思っていても顔に出さないように我慢したり…頑張っているのだ。
俺も見習わないとな。
『かんたさん程じゃないです。かんたさんは努力の天才ですからね!』
ニコニコ嬉しそうに話す彼女が可愛くてつられて笑ってしまった。
というか俺も普通に嬉しかった。
努力を認めてもらえている気がした。
努力の形が動画になっていれば、それが本望なのだけれど、どうなのだろうか。
みんな面白い面白いって見ているのだろうか。
そうだったらいいな。
トミー「かんたぁー」
「何?どうした?」
突然ドアを開けられて、俺は固まった。
話、聞かれたかな?
トミーだから大丈夫か。
トミー「マック食う?」
「食う食う。いつも通りビックマックとポテトとコーラで」
夜ご飯の話だったのか。
珍しいなトミーが聞きに来るって。
いつもはキイチなんだけどな。
まあいいか。
いやよくねえわ。
「何?何でトミーが聞きに来たの?可愛い店員でもいた?」
俺が半ニヤケで問えば、
トミー「…そんなんじゃねー」
それだけを言って部屋を去って行った。
後で事情聴取だな。
『……私隠れなくてよかったですよね』
「…トミーから見えないならね」
トミーが幽霊見えるとか言い出したら世の中も末期だよ。
多分次の日あたりに滅亡するわ。
『マックいいですねー』
自分のことのように喜ぶ姿が子供みたいだった。
撫でたい。抱きしめたい。
そんな感情が少しずつ沸きながらも、彼女の身体には触れられないままだった。
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漆黒の翼をもつカリスマことレミリア・スカーレット - 投稿頑張ってください。応援してます更新楽しみにしてます! (2018年4月28日 18時) (レス) id: 64fa08433d (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - こまめさん» ありがとうございます;;;;切なさを精一杯表現していきますよろしくお願いします! (2018年4月20日 23時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - 素敵で切ないです(;o;)これからも楽しみにしてます♪ (2018年4月20日 23時) (レス) id: 15ff708b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まのん | 作成日時:2018年4月14日 3時