7話 ページ8
寛太side
・
男らしい、大人っぽい奴だった。
スーツも決まっていて、髪型もピシッとしていた。
俺のような大学生とは大違いだ。
『坂下さん終わったんですか?』
サカシタ「終わったよ。ところでこの子は?弟くんかな?」
目に光が宿っていない坂下さん、という男は俺の存在を問う。
ただの上司、だよな?
まさかそんな関係なわけないよな。
『私の後輩で佐藤寛太って言います』
「…はじめまして、佐藤です」
サカシタ「…へぇ。こんにちは、俺は坂下優。よろしく」
手をこちらに伸ばす坂下さんは、何を求めているのだろう。
握手以外に、きっと俺の心に問う何かがある。
それは俺も同じだ。
Aさんとどういう関係か。
サカシタ「まぁ恋人なわけないよね、こんな子どもみたいな子」
「はっ?」
つい間抜けな声が出た。
確認しよう。
彼は初対面だ。
幾つ年上か分からないけれど初対面。
いきなり何を言うのだろう。
確かに大人から見たら子供かもしれないけど…何でAさんの前でそういうこと言う?
サカシタ「さっ、行こうか」
『待ってください、私買い物しに来たんです』
そう言ってAさんはレジへかけて行った。
その場には俺と坂下さんだけになる。
気まずい。
というかイライラが止まらない。
サカシタ「君さ、Aさんの何なの?」
「…僕は、彼女の後輩です。」
それ以外言いようもなく、俯く。
恋人でもなければ、妻でもない。
ただ、先輩と後輩…それだけだ。
言っていて虚しくなった。
サカシタ「朝彼女から君の匂いがしたんだよね」
衝撃の告白に耳を疑った。
何で俺の匂い…?
そういえば一緒に寝てたからか。
でも、そこまでじゃ……。
サカシタ「彼氏でもないのにそんなに近寄らないでくれるかな?子どもは子どもと恋人ごっこしてたらいいよ」
何この人。
本当にAさんの何なの?
苛立ちが止まらない。
「失礼ですが、他人にそのようなことを言われる筋合いはありませんので。僕は僕、あなたはあなた、AさんはAさんです」
サカシタ「でも俺が彼女と未来を誓った仲だとすれば?」
俺は固まった。
Aさんの、恋人っていうこと…?
嘘だろ。
さすがにそんな…
『すみません、お待たせしました』
レジから彼女はこちらにかけてきた。
はいこれ、と俺にホワイトチョコレートを渡したAさん。
そうして坂下さんに連れられていった彼女の優しさは、俺を逆に苛立たせた。
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まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありがとうございます;;;;R18フラグ立てましたがよければ続きもご覧下さい!カンタくんは可愛い生物だ! (2018年5月5日 4時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏花(プロフ) - 2度目のコメント失礼します。ドキドキしながら見ています。かんたくんのかわいさがとてもきゅんきゅんきます!次回も楽しみにしてます!!! (2018年5月5日 0時) (レス) id: 6bd655e2cc (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏輝@抹茶オレさん» 大人っぽい彼らを描けていたら嬉しいなと思います!自分自身見たかったので(笑)もっともっと頑張ります!応援よろしくお願いします! (2018年4月30日 19時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏輝@抹茶オレ(プロフ) - はじめまして、いつも更新を楽しみにしています。他の水溜りボンドの小説とは違うちょっと大人テイストの小説、初めて見たのですがすぐに引き込まれました!新鮮でいいですね(^^)これからの展開が楽しみです! (2018年4月30日 19時) (レス) id: bad733541a (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありとがうございます;;;;自分の力になります!!earnestは皆さんあんまり好まれないかな...とか思ってたんですけど、夏花様のような方がいて下さって本当に助かります。ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願い致します! (2018年4月30日 10時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まのん | 作成日時:2018年4月23日 15時