25話 ページ26
・
仕事が終わった。
今日は定時退社の18時。
まだ明るい外が嬉しく感じた。
自分の車のエンジンをかけて、いつもの音楽を聴き始めた。
自分の大好きな曲を聴いているはずなのに、寛太くんや富永くん、坂下さんのことを思い出してしまうのだ。
寛太くん、ちゃんとサラダ食べれたかな。
富永くん、これからどうしたらいいのかな。
坂下さん、どういう顔して会えばいいかな。
思い出すことが悩みばかりで自分は軽い女なのか、と不安になった。
いや、軽くて最低な女だと思う。
富永くんに襲っていいよ、だなんて言っておきながら、寛太くんの前で過呼吸起こして、今日は寛太くんの事を思い出せばため息ついて坂下さん心配させたし…。
自分が最近不真面目で汚い。
嫌い。
彼氏でもない男と寝ることなんて今までの私じゃ絶対なかった。
何で今の私はこんなに軽いんだろう。
気分が浮かないな。
『はあ……』
車を走らせて数分、信号待ちでふと横を見た。
歩いている寛太くんがいた。
どうしようか、なんて悩んでいる私はいなかった。
『寛太くん!』
車の中から叫べばすぐに彼は振り返って駆けてきた。
カンタ「乗ってもいい、ですか?」
『敬語に戻ってる!いいよ、乗って!信号変わる』
助手席に座った彼は荷物が少なめだった。
どこに行っていたのだろう。
でも彼は様子がおかしかった。
何かあったのかな?
『寛太くん』
カンタ「ん?」
『体調悪い?』
私がそう聞けば申し訳なさそうに首を横に振った。
体調悪い訳じゃないなら出掛け先で何かあったって事だよね?
心配で仕方ない。
『何かあったの?』
カンタ「…んーん、何でもない!」
そういう彼は無理に笑った。
話したくないなら無理に聞くのもおかしいと思ったため、そっか、と流した。
問い詰めるのもストレスだと思うから。
カンタ「そういえば、Aマイヘア聴くの?」
『え?何で知ってるの?』
カンタ「今流れてるのマイヘアでしょ」
物凄い馬鹿な発言したな私。
死ぬほど恥ずかしくてつい髪をいじった。
カンタ「しかも復讐だし」
『春になったら殺っちゃうぞ』
カンタ「だから顔も体も名前も全部」
『ずっと覚えてて忘れないでいよう』
お互いの知っている曲を交互に口ずさむ。
それだけの事なのに気持ちが明るくなって釣られて口角も上がった。
楽しかった。
93人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありがとうございます;;;;R18フラグ立てましたがよければ続きもご覧下さい!カンタくんは可愛い生物だ! (2018年5月5日 4時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏花(プロフ) - 2度目のコメント失礼します。ドキドキしながら見ています。かんたくんのかわいさがとてもきゅんきゅんきます!次回も楽しみにしてます!!! (2018年5月5日 0時) (レス) id: 6bd655e2cc (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏輝@抹茶オレさん» 大人っぽい彼らを描けていたら嬉しいなと思います!自分自身見たかったので(笑)もっともっと頑張ります!応援よろしくお願いします! (2018年4月30日 19時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏輝@抹茶オレ(プロフ) - はじめまして、いつも更新を楽しみにしています。他の水溜りボンドの小説とは違うちょっと大人テイストの小説、初めて見たのですがすぐに引き込まれました!新鮮でいいですね(^^)これからの展開が楽しみです! (2018年4月30日 19時) (レス) id: bad733541a (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありとがうございます;;;;自分の力になります!!earnestは皆さんあんまり好まれないかな...とか思ってたんですけど、夏花様のような方がいて下さって本当に助かります。ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願い致します! (2018年4月30日 10時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まのん | 作成日時:2018年4月23日 15時