23話 ページ24
富永side
・
俺はあの日から眠れずにいた。
欲求不満とかじゃなくて、後悔に潰されそうだったのだ。
あの日をきっかけに俺と関わることをやめてしまったらどうしよう。
そういう想像をしてしまった。
中高でいい加減な性格で知られていた俺でも、今回の件はどうしようもなく不安で仕方がない。
だって、最愛の人にもう関われないかもしれないんだよ。
そりゃあ不安にもなるだろ。
…ということで、俺は彼女の家に謝りに行こうとしていた。
仕事なんていう概念、俺は忘れていた。
大学も休んでしまおう。
謝りたい。謝って許してもらおう。
自己中心過ぎる?
でも許しを請わず、ただ謝ったという満足感が欲しいだけの人間よりもマシだと思う。
…最低だな俺。
そうつくづく思う。
それでも、俺は反省したことだってあった。
体だけの関係だった女とは全て連絡を断った。
電話も出ないようにした。
これは俺なりの反省だった。
ヤンキーをしていた頃の友達に富永お前おかしいぞ、って言われても俺は一人の女の子のために頑張ることにしたのだ。
Aさんはそれで振り向いてくれるとは思わないけど。
どうか、少しだけでも俺に目を向けて欲しかった。
それだけだ。
−−
彼女の住むアパートに着き、インターホンのボタンを押した。
ピンポーン、と軽快な呼び出し音が鳴る。
Aさんはいるだろうか。
中から足音がした。
いるじゃーん。仕事は?
色んな思いが交錯する中、俺は富永です、と中に声をかけた。
ガチャ、とドアが開いた。
出てきたのは俺の相方の男だった。
カンタ「…富永?」
「寛太…?」
なぜ寛太がAさんの部屋にいるんだろう。
しかも中にAさんがいる雰囲気はない。
…何で?
留守を任せる程の仲になったのだろうか。
「な、ぁ…Aさんは…?」
カンタ「仕事。丁度富永に聞きたいこといっぱいあんだよな。部屋にあげるわけにはいかないからどっか行くか」
「…俺はAさんに用事があんだよ」
寛太の今まで見たことのない表情に衝撃が走った。
普段の柔らかい表情はどこに消えたのか、威嚇するようなキツい目付きだった。
まるで番犬のような顔。
カンタ「富永、俺はお前から話が聞きたい。Aは仕事だからいないよ」
「…寛太に話すこと無いから帰るわ」
この俺の逃げるような態度に寛太は怒ったらしく、腕を掴んだ。
カンタ「いい加減にしろ」
そういう彼は作り笑顔を浮かべた。
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まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありがとうございます;;;;R18フラグ立てましたがよければ続きもご覧下さい!カンタくんは可愛い生物だ! (2018年5月5日 4時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏花(プロフ) - 2度目のコメント失礼します。ドキドキしながら見ています。かんたくんのかわいさがとてもきゅんきゅんきます!次回も楽しみにしてます!!! (2018年5月5日 0時) (レス) id: 6bd655e2cc (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏輝@抹茶オレさん» 大人っぽい彼らを描けていたら嬉しいなと思います!自分自身見たかったので(笑)もっともっと頑張ります!応援よろしくお願いします! (2018年4月30日 19時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏輝@抹茶オレ(プロフ) - はじめまして、いつも更新を楽しみにしています。他の水溜りボンドの小説とは違うちょっと大人テイストの小説、初めて見たのですがすぐに引き込まれました!新鮮でいいですね(^^)これからの展開が楽しみです! (2018年4月30日 19時) (レス) id: bad733541a (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありとがうございます;;;;自分の力になります!!earnestは皆さんあんまり好まれないかな...とか思ってたんですけど、夏花様のような方がいて下さって本当に助かります。ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願い致します! (2018年4月30日 10時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まのん | 作成日時:2018年4月23日 15時