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17話 ページ18

寛太side



「そっか」

『ごめんね…』


嗚咽を洩らさずに泣くその姿がなぜかとても切なかった。

ベッドに座り下を向いて、肩を震わせていた。

その姿が弱々しくて、儚げだった。

思わず俺は横に座り抱きしめた。

怖がらないように優しく、そっと。


『あのね、初めてだったの』

「…は?」

『富永くんが…初めてで』


彼女はそう言えば声を上げて泣いた。

初めて泣き声、を聞いたかもしれない。

俺も泣きたくなった。

それくらい同情したのは初めてで。

俺は抱きしめる力を強くした。


「怖かったですよね、辛かったですよね」

『うん、でも…私が悪、くて』

「うん、うん」


背中を優しく撫でれば俺の腕の中で震えている彼女は俺の背中に腕を伸ばした。

まるで子供の世話でもしているかのような気になった。


『いいよ、とか言わなければ…』

「でも後輩相手に強がっちゃうんですよね」

『うん…』


その気持ちはとてもよくわかった。

俺も先輩であるAさんと一緒にいたら酒も頑張って飲むし、笑顔でいたくなる。

ヘタレな姿を見せたら格好悪いと思われそうだから。


「無理しなくていいんですよ、AさんはAさんなので」

『…な、んか…気持ち悪い……触られた部分全部が汚くなった気分』

「何でですか?」

『私富永くんがね、色んな女の子と…ヤッてるの知ってるんだ……それで…色んな女の子に触れた手で、身体で…私に触れて欲しくなくて…気持ち悪くて…』


震える彼女は本当に気持ち悪がっているんだと分かった。

…色んな女の子とヤッてる?

富永が?


「どんな姿でもAさんは汚くないし、綺麗ですよ」

『寛太くん…』


俺を見上げるAさん。

その姿にきゅんとしてしまった。

富永のことは後で本人に聞こう。

それでいい。


「俺のこと、怖くない?」

『え?怖くないよ』


ふふ、と笑みがこぼれた彼女の顔は綺麗だった。

抱きしめていないと消えてしまいそうだった。

濡れた睫毛が照明に照らされてキラキラと輝いていた。

彼女の顎から滴る涙を俺はそっと掬いとった。


「さ、気分晴らしにご飯でも食べましょうか」

『…私もうちょっとぎゅーって、しててほしいな』

「え?」


不意に言われたその言葉に俺は心拍数が倍速並みになった。

顔もきっと赤くなっていて、耳まで赤いかもしれない。

目が合うだけで、胸が痛む。


『だめ?』


そう言った彼女は俺を上目遣いで見つめた。

俺は抱きしめ返した。

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まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありがとうございます;;;;R18フラグ立てましたがよければ続きもご覧下さい!カンタくんは可愛い生物だ! (2018年5月5日 4時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏花(プロフ) - 2度目のコメント失礼します。ドキドキしながら見ています。かんたくんのかわいさがとてもきゅんきゅんきます!次回も楽しみにしてます!!! (2018年5月5日 0時) (レス) id: 6bd655e2cc (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏輝@抹茶オレさん» 大人っぽい彼らを描けていたら嬉しいなと思います!自分自身見たかったので(笑)もっともっと頑張ります!応援よろしくお願いします! (2018年4月30日 19時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)
夏輝@抹茶オレ(プロフ) - はじめまして、いつも更新を楽しみにしています。他の水溜りボンドの小説とは違うちょっと大人テイストの小説、初めて見たのですがすぐに引き込まれました!新鮮でいいですね(^^)これからの展開が楽しみです! (2018年4月30日 19時) (レス) id: bad733541a (このIDを非表示/違反報告)
まのん(プロフ) - 夏花さん» 本当にありとがうございます;;;;自分の力になります!!earnestは皆さんあんまり好まれないかな...とか思ってたんですけど、夏花様のような方がいて下さって本当に助かります。ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願い致します! (2018年4月30日 10時) (レス) id: 240d3919d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まのん | 作成日時:2018年4月23日 15時

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