三角形の恋模様《我妻善逸》

その36 ページ37

獪岳side




『藤襲山で七日間生き抜く』





単純なことだが、あの山には腹を空かせた鬼共がウジャウジャいた。



もう何度、人が死んでゆくところを目の当たりにしてきただろうか。




『ではあちらから、刀を造る鋼を選んで下さいませ』




終わった。俺は生き抜いた。鬼殺隊になったんだ。





獪岳「残ったのは、3人か...。」





隊服を受け取って、真っ先に家へ向かった。




この七日間ずっと意識を張り詰めていた反動で、足が鉛のように重くて前へ進めない。




今鬼に襲われたら、俺はすぐに喰われてしまうだろう。



そう言えば選別の時、鬼に喰われそうになっていた者を助けた男がいた。




そいつは強かった。でも周りの人間を庇うあまりに、自分を守ることが疎かになっていた。




結局そいつは腹を突かれて死んだ。



俺以外に生き残った2人は、そいつに生かされただけのクズだ。




愚かなことだ。生きてさえいれば、鬼殺隊になれたというのに。




最初から他人など放っておけばよかったんだ。




自分を顧みない行動は、いくら周囲に称賛されようと、死んでしまっては元も子もない。

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