23 ページ23
あの日。まだ遊びたいと駄々をこねる私に嫌気がさした紫躍は先に帰宅した。
紫躍が帰った公園で一人で公園でブランコに乗って遊ぶ。
しょうのケチ。もう少し遊んでくれてもいいじゃん。
「Aちゃんかな？？」
夕暮れの公園でゆらゆらとブランコをこいでいると男の人が私に喋りかけてきた。見たことある。前に学校の帰り道に道を聞かれた。その男性がブランコにのる私に合わせて中腰になっている。私はブランコのスピードを下げた。
「なに？」
その男性は私に笑いかけた。
「Aちゃんのお父さんのお友達なんだけど、お父さんがAちゃん呼んでるよ？」
「え、そうなの？パパ、どこにいるの？」
「いい子だね。こっちだよ」
そうやってその男性に手を引かれながら車に乗り込んだ。
私が覚えている記憶は断片的。
次に目が覚めた時に私は狭い空間の中の嫌な臭いのする密閉された場所だった。湿った空気。どうやら車の後部座席に寝ているようだった。
訳が分からずに急に怖くなった。周りには誰もない様子だった。車のドアをあけるか迷ったけど怖くて開けることができなかった。どうしようと心臓がバクバクした。震えが止まらない。息が苦しい。どうしようもなく、うずくまった時に車のボンネットをボンボンと叩く音がした。ゆっくりと窓の外を見ると紫躍がいた。
紫躍を見た瞬間に今までの恐怖がすべてどこかにいってしまいそうなくらいに安心した。
車のドアを開けると紫躍が勢いよく車に乗ってきた。
「A！！A！大丈夫」
紫躍は私の顔をみて今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「うん。大丈夫。さっき気がついたらここにいて」
「けがとかしてない？」
私は自分の全身を確認したけど傷一つなかった。
「よかった。A、ここに居て、みんな呼んでくるから」
そういって紫躍が離れたときに急に孤独になった。今までにない寂しいきもちが私を支配した。
その後は両親や警察に色々を聞かれた。
私は軽くパニックに陥っていた私を助けてくれた紫躍へ全てをささげなくてはいけないと、そんな気がした日だった。
それから私は紫躍の言うことは絶対になってしまった。紫躍に従っておけば間違いないと思った。
紫躍がわたしを助けてくれた。あの日、紫躍が私のこと見つけられていなかったら、私はあの後………考えたくもない。
だから、紫躍は私の恩人であり,全てだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆっぴー - 廉くん頑張れ。 (2021年11月21日 13時) (
レス) @page42 id: 233a7fa478 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴー - 廉くんと主人公がハッピーエンドになる事を願います｡紫耀は主人公が自分から離れるのが怖いだけでしょ。 (2021年11月21日 13時) (レス) @page42 id: 233a7fa478 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼子 | 作成日時：2020年4月24日 21時
