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ふっかの後に百合がトイレに立ったタイミングで斜め前に座っていたAの前へと席を移動した。
「ふっかと仲いいんだな」
「うん。高校の同級生であと3人仲いい友達いて…いつも6人で集まってるの」
Aはそう言って綺麗な手で綺麗に箸を持ってホッケを食べる。
「ふーん」
ジッと見ていたら「ん?何」と俺を見つめ返してきた。
黒い瞳が揺れていた。
なんだろう…
仕草や喋り方、全部が多分男の好きな感じ。
「ふふ、こんなイケメンに見られると恥ずかしい」
まんざらでもなさそうにAはそう言った。
不思議な空気だった。
なんとも言えない男心を掴むテンポのいい会話。
クルクルと変わる表情。
「…もしかして…このホッケ食べたいって思ってた?」
Aの目線がテーブルの上のホッケに向く。
「これ、美味しいよねーしょうがないな…残り全部あげる」
そう言ってAはホッケの入った皿を俺の方に近づける。
ネイルもしていないのにピカピカとしている爪。
薄い化粧にオレンジ色のリップの色が際立つ。
「ふふふ。はい、」
無邪気な笑顔で俺に差し出すそのホッケを俺は無言でつまんだ。
「おいしい?」
「おう」
完全に彼女のペースに巻き込まれている。
「あれ?百合は?」
トイレから帰ってきたふっかが俺とAの2人きりの空間に眉をひそめた。
「あれ、ふっかの後すぐにトイレ行ったんだけどー大丈夫かなー百合、お酒弱いからねー」
Aはそう言いながら心配そうに席を立って女子トイレの方に行ってしまった。
Aが座っていた位置にふっかが座る。
そのままトイレの方に行ったAを目で追いかけるふっかを見つめる。
「ふっか、A狙いなの?」
「え?」
俺の言葉にふっかは少しおどけた表情する。
「分かり易―。そもそもお前彼女いんじゃんよー」
ふっかには同じ大学に綺麗な彼女がいる。
ミスコンテストにエントリーされるような綺麗な子でAとは少しも似ていない彼女が。
「Aは…無理だよ。手ごわい…。翔太、Aと喋って分かるだろう。あいつ、相当モテるよ。でもあいつは無理。もうとっくに諦めてる…俺はいいんだ。たまにこうやって飲めるだけでいいんだよ」
こんな切ない表情をするふっかを本当に初めて見た。
綺麗な彼女にいつも余裕そうなのは…そういうことか。
ふっかの話にAのハードルがあがる。
純粋にAに興味がわいた。
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nono(プロフ) - lovehim06さん» ありがとうございます!続編の社会人編もよろしくお願いします。 (2022年3月28日 11時) (レス) id: ec84c7801d (このIDを非表示/違反報告)
lovehim06(プロフ) - すごくひきこまれて、最新話まで読みました。今後も楽しみにしています (2022年3月19日 18時) (レス) id: f4202ed725 (このIDを非表示/違反報告)
nono(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます。結末はもう少し先になります。ぜひ社会人編もお楽しみください!更新頑張ります。 (2022年3月19日 9時) (レス) @page50 id: ec84c7801d (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - すごく面白くて最新話まで一気に見てしまいました。結末がどうなるのか楽しみです!更新楽しみにしております。 (2022年3月18日 19時) (レス) @page49 id: c3bba08d92 (このIDを非表示/違反報告)
nono(プロフ) - あやさん» ありがとうございます。頑張ります!最後までよろしくお願いします。 (2022年3月16日 8時) (レス) id: ec84c7801d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nono | 作成日時:2022年3月10日 2時