肆 ページ4
門を出て長い階段を駆け足で降りると、そこには城下町が広がっていた。
賑やかで、どこはかとなく懐かしさを感じるこの場所が私は昔から大好きだ。
一本の長い道の向かい合う店はどれも個性的で、その店にしか出せない特有の色を掲げている。
四方八方で違うものが置いてある為、全く飽きず、見ているだけでも楽しめるのがこの花の国の城下町だ。
昔ながらの団子屋に顔を出せば、店主が私を見て｢大きくなったね｣と歓迎の茶を出してくれた。
城に入ってからというもの、中々城下町に出向く機会が無くてここにいる皆と会うのもかれこれ一年ぶりだろう。
椅子に座って何年経っても変わらず掲げてある�爐世鵑瓦筬瓩判颪�れた暖簾を眺めていたら、小さい頃によく食べていたみたらしの味を懐かしくも思い出し、店主に｢一本くださいな｣と注文した。
一口目を口に入れ、昔からずっと何一つ落ちることのないその味を堪能していた時だった。
__｢となり、座ってもええかな？｣
突如聞こえた声の方を向けば、そこには笠を被った一人の男性がいた。
笠から覗いた真っ赤な瞳が光に反射してやけに美しく、私は三秒程じっと見とれてしまったのだ。
｢ん、なんや俺の顔になんかついとる？｣
彼は眉を顰めて、ぺちぺちと両手で顔を触りだした。
その言葉でやっと自分が見つめてしまったことを理解して、慌てて目を逸らし言った。
｢ごめんなさい、その、花の国ではあまり見ない素敵な髪色と目の色でしたので…つい。｣
改めて人を褒めるのが何だか気恥しくて、私は頬を少し赤く染めてしまう。
それを見た彼は微笑みながら｢おおきに｣と告げ私の隣にそっと腰をかけた。
｢俺花の国のもんちゃうねん、だからここの団子初めてやし、なんならここが何処なのかもあんまし分かれへん！｣
おちゃらけて話す彼は何だか愛着があって、初めて会ったのにずっととなりにいた友達かのような安心感がある。
｢ここはみたらしが美味しいですよ、私の一つ食べますか？｣
｢ええの！？…いやでもやっぱ悪いわ〜｣
少し考えたあと、｢せや！｣と何か思いついたように私の両手をぎゅっと握った。
｢俺餡子も食べたいから、一個分け合いっこしようや！そしたら二つの味食べられんねんで！すごない！？｣
分け合いっ子、なんて何年ぶりだろうか。
子供のような発想に、｢どや｣っと言わんばかりの目の輝きで詰め寄られては、駄目なんて言えるはずもない。
__それに何だか彼と話しているととっても楽しくなっていたのだ。
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音羽(プロフ) - めっちゃ続き気になる！！！！ (2021年11月22日 21時) (
レス) @page8 id: 6bfe6097e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2020年11月26日 21時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年7月30日 17時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
奏 - ヤバいぃイィィイ！面白すぎて語彙力がとろけるチーズになりました←これからも更新頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2019年7月30日 15時) (レス) id: eb18b63c38 (このIDを非表示/違反報告)
歌波 - さいこう！ (2019年7月29日 15時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ne6
| 作成日時：2019年7月23日 3時
