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「ほら莉犬、次移動教室だよ!はやくはやく〜!」
「ちょ、おまえあんま引っ張んなって!」
一限目、二限目、三限目と授業は着々と終わっていく。
その度々に聞こえる女子特有の甲高い声が耳障りで私は耳を塞ぐのも不自然だし、教室を出るしかなかった。
自席から立ち上がった私を少し離れた場所で見ていたクラスメイトがこそっと話し出す。
「…なぁ莉犬とAって別れたのか…?」
「…それ俺も思った。
てか莉犬、女変えたのか?今日は佐藤とベッタリじゃねえか」
「バカお前、声でけぇよ!莉犬こっち見てんだろ!」
『(…私にも聞こえてますよー…)』
彼らに細い視線を当ててからひとつ、はぁと溜息をついた。
周りからも莉犬くんと佐藤さんがカップルに見えているようじゃ、私の居場所なんてどこにも無い。
教室を出て私はトイレの個室へと入る。
鍵を閉めてそっとドアにもたれかかった。
『(…最初から、私は遊びだったのかな。)』
__好きだったのは私だけ
そんなこと信じたくはないけれど。
嫌でも視界に入ってきてしまう二人の関係がこれから毎日続くと思うと辛い。
…学校なんて、行きたくない。
▽
結局一時間、トイレに篭ってしまっていた。
(…何してんだか。)
私は、少し落ち込みすぎなのだろうか。
されど学生同士の若者恋愛。世間からすればこれはただのママゴト、大人の真似っ子。お遊戯だ。
(もう終わった恋。これは思い出にしてしまって、
…気持ち、ちゃんと切り替えなきゃ。)
『よし!』
息を大きく吐くと同時に両頬をペチンと叩く。
本当は切り替えなんて出来るタイプでもないし
明るくやっていける自信もない。
でも今は自分を騙してでも強気なフリをしないと、心を入れ替えたフリをしないと壊れてしまうから。
(ああ、お昼の時間…るぅとくんの所に行こう)
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しのぶ - 初コメです!凄く面白そうで、このあとの展開が楽しみです!頑張ってください! (2023年1月8日 22時) (レス) @page16 id: 0ed4fa3946 (このIDを非表示/違反報告)
ジャイ子の友達 - 初こめです面白いですね!更新がんばってください!! (2022年6月18日 11時) (レス) @page16 id: aa2b55b842 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - この話好きです (2022年5月27日 22時) (レス) @page16 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
莉ru(プロフ) - 銀魂見ます!絶対面白い! (2021年6月21日 21時) (レス) id: edb58a9a7f (このIDを非表示/違反報告)
みるり(プロフ) - キュンキュンしますねぇ。いつか共同制作してみたいです! (2021年4月28日 6時) (レス) id: 5745da0037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ne6 | 作成日時:2020年3月19日 1時