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Aside
何が……何がだめだった？
何の選択肢をミスった？
私がカイに会いにいったこと？
私がこの日を計画の決行日にしたこと？
考えれば考えるほど答えが出ない。
だが、ドクドクと出る血は出るな！出るな！といえど、止まってくれない。
生暖かい血が流れ出る。鉄の匂いが鼻につく。
止まって！
お願いだから血よ、止まって！！
お願い！神様！
私の命をあげるからカイの命を助けて！！
いつもは絶対にしない神頼みをする。
なのに止まらない。
視界がぼやける。自分の目から雫をこぼす。それがカイの傷口に入る。
ふとカイが体を起こす。
咄嗟のことに止めるのを忘れ、かたまる。
カイはうつ伏せに寝ていたのを変え、仰向けに横になる。
カイは「いてて。」と顔を歪めたあと、笑う。
仰向けになったことで私の手が空く。
そのことに気づいた私はまだ止まっていない血を止めようと手を伸ばすが、カイに手で制される。
持ち場を失った手はそのまま下へいき自分の膝の上に乗せる。
カイは私の顔を見て薄く笑うと手を私の顔へと伸ばす。それに上から手を重ねるとまた、「あはは。」と笑う。
その笑いはいつも豪快に笑う彼女とは違い、とても弱々しかった。
その姿にまた彼女の死期が近いことを痛感し、涙がもう止まらなくなる。
カイ「A……？なんで、そんなに泣くんだ。」
分かってるくせに、そう言うカイに真意を掴めなくてただ見つめる。
カイ「あはは。ひっでぇ、顔。
………………なぁ、A。
………私、死ぬわ。」
そう淡々と言うカイはもう、死を悟っているようで、静かに笑うだけだ。
そんなカイに、もうこれ以上傷口を広げてほしくなくて、「もう喋らないで。」と言う。だけど、カイは止まらず話し続ける。
カイ「ごめんなぁ、A。一緒に帰りたかったけど、無理みたいだ。
…………お姉ちゃん。ふはは。言い響きだなぁ。
さっき、はじめて、直接言ってくれて超嬉しかった。
たしか、昔、言ってたよな？
私をお姉ちゃんって呼ばないのは私が馬鹿だからって。
ほんっとに生意気だよな〜、Aは。
だけど、そーゆーとこも可愛くて、私は大好きなんだぞ？
なぁ、A。もう一度言ってよ。お姉ちゃんって。」
笑うカイをぼやける視界で見つめながら、「お姉ちゃん。」「お姉ちゃん。」と何度も呼ぶ。
その声に嬉しそうに笑うカイを私はぼやける視界に必死に入れた。
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作者名：ヴォン | 作成日時：2022年8月15日 9時
