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目の前のこと ページ24

…やっぱりな、と私は思う。私がここに来るということを、私が鬼兵隊に来ることを武市達に伝えた人物。それは私の予想通り、晋助だった。相変わらず襖に背中を預け、煙管を片手に持って、何を思っているのか分からない視線をこちらに向けている彼が、ここに居る彼等にそう伝えたのだ。私自身の意思を無視して。彼自身の意思だけで、私はここにいる。武市はまるで呆れるようにひとつ、溜め息に似たような吐息を漏らしてから続ける。


「とはいえ、貴女もそう言われて、はいそうですかとなるはずもないでしょうけれど」

「当然だよ」


…即答で、私は返した。どうして、私の意思が届かない場所でそんなことを勝手に決められて、それを飲み込めるというのだろう。そんなもの、頷けるはずがない。さっきも言った通り私は、ここから早いとこ抜け出して、彼等の元に、私の居場所に帰るのだ。いつまでもこんな場所に居るわけにはいかない。


「…それなのにまた子さん貴女という人は……目の前のことしか見えていないまるで猪のよう…」

「だーから!!猪じゃないって何度言ったら分かるっスか!!」


そんなんだからA先輩にモアイとか言われるんスよ武市先輩は!!と。彼女は言う。今にも、腰に携えられている銃を武市に向けんばかりに。ていうか、勝手に先輩と呼ばれていることが気になって仕方がないのだけれど。やいのやいのとまた言い合いを始める二人を止める気力もなく、盛大な溜め息をついてから、ふと晋助の隣にいる人物に目を向ける。そういえば先程からソイツは、一言も喋ってはいない。物静かな奴である。


(…ん?)


…何かが、引っ掛かる。何故か三味線を持って何をするでも、何を言うでもなくそこに立っているサングラスの男には、見覚えがあるような気がした。私は無遠慮にそのサングラスの男を凝視しながら、思考を巡らせる。記憶を掘り起こすように。絶対に何処かで、見たことがあるのだ。漠然とした確信が、私の中にはあった。

サングラスは私の視線に気付いているのか、こちらを向こうも凝視している。女の子とモアイの騒がしい声を耳にしながら、私達は見つめ合う。そして。


「あああああ!!」


と、私は叫んだ。そんな叫び声が部屋に響いても、二人の言い合いは止まらない。こうなれば気がすむまでやらせておこうと思う。私はサングラスの男に詰めより、「アンタ!!」とソイツに指をさす。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組、攘夷   
作品ジャンル:アニメ
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- 長編小説って飽きやすいイメージがありますが、ピピコさんの小説は、全く飽きることがなく、むしろ読むたびに続きが読みたい!と思えます!最後までしっかりと読むつもりです! (2019年5月26日 10時) (レス) id: 0b828016c7 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - にんじんさん» にんじんさん!レス遅れてしまいごめんなさい!ありがとうございます!また子ちゃんは多分私の書く小説で出てくるのは初めてだと思われるので上手く書けているか不安でしたがそう言って頂けて安心です…!また子ちゃんだけではなく総督様にもご注目くだされば幸いです! (2018年2月14日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - また子ちゃんカワイイ! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 鏡華さん!ありがとうございます!終わってほしくないと言って頂けて感激してます!書き手としてすごく嬉しいです!ずっと暖めていたお話なので展開をうまく開いていけるか不安ではありますが頑張らせて頂きます!高杉さんにそして土方さんの活躍をお楽しみに! (2018年2月9日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
鏡華 - 終わってほしくないです!!高杉さんも関わってきて、続きが気になります!! (2018年2月9日 9時) (レス) id: a16b684fd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年1月27日 18時

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