YouTuberには愛されるのだ。

- Kindan boys / Ikkun - ページ32

私たちの職業はYouTuber。
自分たちで言うのも変な気もするが、
今では普通にテレビに出ているような
俳優さん女優さんと変わらないほどの人気。

そんな中でのデートなんてものは
本当に危険なのだ。

何が危険かと聞かれれば、それは簡単。
バレてしまっては行動できないこと。
人が多く集まってしまう可能性があること。
そして、付き合っているとバレてしまえば
炎上に繋がってしまうということ。

一番怖いのが炎上で、
もし、それでお互いが叩かれることになれば
私たちの営業に大きく関わってくる。

「今日も重装備やね」

私の後ろから現れた、
青髪をニットで隠して、メガネをかけた
大好きな私の彼だ。

『ちょっといっくん、その見た目やったらバレる』

出かける時に何度も注意しているのに
いつも同じように、
ニット、メガネ、マスク、パーカー、リュックで
待ち合わせ場所に警戒心ゼロでやってくる

「大丈夫やて、バレた時はバレた時やん」

さりげなく手を繋ぐいっくんに
少し胸の高鳴りがあったような気もするけど
私は怒っているので、ドキドキはしません

『今日はどこ行くん?』

「内緒かなー」

楽しそうに私の少し前を歩きながら
私を引っ張っていく。

『…行き着いた場所がラ〇ホだったりせん?』

「そんなこせんて、俺のイメージなんやねん」

いつもみたいに呑気に会話しながら
渋谷のど真ん中をズンズン進んでいく。

本当に、この時間が一番心配。
視聴者いたらどうしようとか、
声掛けられたら何て言い訳しようとか、
会話しながらそんなことを考えてみたり。

「あ、これからどこ行っても怒らんといてな」

『そんな変なとこ行くん?』

「…いやぁ、別にそんなに悪いこともないけど」

『ふぅん…まぁ怒らんて』

場所にもよるけど、
私は結構温厚なほうだし、
ちょっとやそっとのことが怒らない。

…って、さっき格好で私怒ってたじゃんね、

『待って、あれ田中くんやない?』

禁断ボーイズメンバーにも報告していないので
バレては困る。
田中くんはまだこちらに気づいてないみたいで
携帯を弄っているから、今逃げれば間に合う。

『いっくん、逃げよ』

「あぁ、大丈夫や」

___Same as above.→←___Same as above.

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