YouTuberには愛されるのだ。

___Same as above. ページ30

「俺のこと嫌い?」

『…え?』


今まで、"嫌われている"と思っていたせいで
突然、"嫌いか"と聞かれれば
自分自身のとしくんへの感情は考えたことがないし
嫌いか好きかなんてはっきりはわからない。

『…としくんは私のこと嫌い……?』

うん、と頷かれることを覚悟して聞いた。

帰ってきた答えはいい意味で裏切られたけど。

「何でそうなるん」

ちょっと不機嫌そうに眉を顰めて
チラッと私の方を見てから
目が合ってすぐそらされた

「……別に嫌いじゃねーよ」

不機嫌そうだったのを見て
またやってしまったかと思っていた時に
衝撃に一言だった。

"嫌いじゃねーよ"

男の人が苦手だった私が
男の人に言われても絶対に嬉しくないと思ってた

でも、こんなにも嬉しくなっちゃうのも
自分で気持ちが悪い。

『私も、嫌いじゃない、よ』

としくんは、多分だけど
あんまりこういう会話をしないんだろうな。
耳が真っ赤だから。

「俺が好きだって言ったらどうする?」

『…それはないと思うって言う』

「本当だって言ったら?」

『……嘘だと思うって言う』

「嘘つかないよって言ったら?」

『……じゃあ、ありがとうって言う』

「…金子みすゞ?」

『…そうじゃないよ』


金子みすゞみたいだって笑ってくれて
なんか、変に安心して私も笑ってしまった。


「好きかもしれん」

『それはないと思う』

「本当だって」

『嘘でしょ』

「嘘はつかねーよ」

『…ありがとう』


暫く沈黙が続いて、
としくんがそれを破るように立ち上がった

私が座っていた所の隣にそっと座って
本当にごめんって、小さく呟いた。

『大丈夫。ちょっと怖かったけど、、』

「それは本当にすまん、、」

どうして今こんなに楽しそうに笑ってくれるのかも
さっきの告白は本当なのか冗談なのかも
男の人なのに、なんでこんなに話しやすいのかも

全部今までにない経験で、戸惑いだらけだけど
私も子供じゃないし、
この気持ちが何なのかとか
自分が自分で一番よくわかってるはず。

『好きなのかな』

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