YouTuberには愛されるのだ。

___Same as above. ページ12

俺が初めてタトゥーを入れた時とか
美容系の仕事をしてた時も
マホト達と暮らすようになった時も
へきトラハウスの一員として動画に出た時も


俺がAに、2人で生きていこうって語った夢
どんな時でもその夢まで遠くて
いつでも不安そうにしてた俺

そんな俺にも、いつでも付き合ってくれた

俺にとっての特別な人はAだけ
でも、Aの特別な人に慣れてるかなんて
そんなこと考えてたらキリがないか。


「ジンくん上の空だね」

「…あぁ、ごめん」

撮影が終わって、みんなでワイワイやってる
俺だけ上の空でむしろ浮いてる

今日の企画も女絡みだったし
Aは動画とか見てないから、大丈夫だけど…
こんなことやりたくてやってるわけじゃない
いっそのこと、彼女がいるって言ってやりたい

YouTuberでもリスナーでもない彼女は
多分そういうの好きじゃないと思うんだけどね

女が食いたいとか言い出したトランジスタ。

申し訳ないけど、抜けるっていって帰ることにした
今帰ったら、Aびっくりするかな…

少しの期待と不安。

俺に渡されているスペアの鍵で扉を開けた
ただいまって言っても帰ってこない返事
この時間だし、出かけてるのかと思って

リビングで携帯を取り出した

『じ、ジンくん予定より早かったね、』

振り返れば、すこし早足で洗面所に向かうA
深く息をして、鼻を啜ったりしてる…

…泣いてた?

「A、ｯｯ…」

目を真っ赤に腫らして、つらそうに息をするA
俺がいない時、いつも泣いてんのか…?
ごめんって言って抱きしめるこしかできない

『…もしもね』

「うん…」

『ジンくんが有名になって私から離れても』
『私は多分、いや、絶対、ずっとジンくんが好き』

「俺もずっと好きだし離れないよ」

あまり俺に意見とかを言わないAから
こんな話をされるなんて思ってなくて
少し焦ってる俺

『ジンくんが有名になって、しかも人気で』
『私がそのジンくんのお嫁さんで』

- 幸せに2人で暮らすことを祝ってもらえたら -

途切れ途切れに、話してくれたAの想い
全員が祝ってくれるとは限らないこの状況。
そして、俺達が幸せでいれる未来もまだわからない

そんな無茶な願いだけど

俺が有名で人気になることだけでも
俺とAが結婚することだけでも
幸せにばることだけでも

俺がちゃんと愛せた人の願いの一つくらい
叶えてやりたいと思った

___Same as above.→←- Kawaguchi Jin -

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