２４０、 ページ13
ドフラミンゴside
窓辺に寄せた椅子に腰掛けて読んでいた本を閉じた。
役目を終えた栞はテーブルに積まれた本の山の頂上に置いて、窓越しの空を横目に見る。
他人が見たら“俺にしちゃ随分お淑やかな趣味だ”と不思議に思うだろう。
……実際ピーカやベビー5にも全く同じ指摘を受けた。
『若様ったら近頃本ばっかりで気持ち悪いわ』
つい先日俺にそう言い放ったのはシュガーだ。
ド直球すぎてかなりグサッときたが、“俺らしくない”との違和感は自分の中でもあったので認めざるを得なかった。
だが実のところ本の内容は全くと言っていい程覚えていなくて、栞代わりにした一枚の写真が俺の視線を占めていた。
本などただのカモフラージュで、俺の本命はこの写真の方だった。
(Aが見てたら“女々しい”っつってドン引きするんだろうな……)
椅子の背もたれに体を預け、手に取った写真に映る少女を懐かしむように眺める。
＿＿ワニ野郎が牢屋に入るよりも前、一枚だけ撮った写真。
俺がカメラを見せるやいなや苦虫を潰したような顔をされたのだが、最終的に折れてくれたAが“しょうがない”と言って撮らせてくれたのだ。
レンズをAに向けた瞬間、たまたまその場に居合わせたワニ野郎と青キジに俺諸共カメラを破壊されかけたのもある意味いい思い出だ。
どことなく不機嫌そうに見えるタイミングでシャッターを切ってしまったことだけが心残りだがこれはこれで手放し難く、かと言ってわざわざ写真立てに入れるようなガラでもない。
そこで中間地点を取ろうとした結果選んだ形がこれである。
そのせいで他人には俺が本の虫になったようにしか見えなくなっていたって別に構わない。
唯一手元に残った心底楽しかった日々の一欠片の愛おしさには何だって敵うはずもない。
「……出来ることなら笑った顔を綺麗に撮りたかったけどなァ」
自嘲気味に笑いながら、後悔を独り言ちる。
こんなことを今更言っても遅いのは分かっているし、同じような後悔は今日までに幾度となくしてきた。
黒く汚れて力のない傷だらけの手足は、戦場で最後に見たズタボロのAの姿は、今でも脳裏にこびりついたまま。
それでも俺は、戦争について報じた新聞にAについて書かれることがこの先一度も無かろうと、“死んだ筈がない”と信じている。
(俺が迎えに行ってもいいんだが……たまには待つのも悪くねェか)
前と同じような再会を願いながら、年甲斐もなく視界を濡らす。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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Riran(プロフ) - はじめまして、全部1日で読みました。とても面白かったので続きをお待ちしております☺️ (2022年11月28日 23時) (
レス) @page14 id: 4386bdb6b0 (このIDを非表示/違反報告)
梔子 - りりあさん» 駄作者さんは言い過ぎじゃないですか？ (2022年8月26日 18時) (レス) @page14 id: 2e66f6d817 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 准将イケメンだし性格もドタイプすぎて…海軍海賊これからどうなってくんだろ、続き待ってます (2022年7月24日 22時) (レス) @page14 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
〇 - ボロ泣きでした！まだ続き可能性があるのでしたら楽しみに待ってます！！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: b70922fcf0 (このIDを非表示/違反報告)
ｶﾛ賀 - 待ってます！完結させるってお言葉信じてお待ちいたします！頑張ってください！ (2021年6月5日 4時) (レス) id: 77c7a84bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福岡 | 作成日時：2018年10月14日 1時
