【BLEACH】異界に舞う桜

31.いかつくて良いなーなんて思っていたのは、内緒だ ページ32

空鶴さんの家に向かっている途中で、一護は意識を取り戻した。その後案の定、私に対して滅茶苦茶文句を言ってきた。

最初こそは聞き流していたが、そろそろ鬱陶しくなってきた頃に、夜一さんの引っ掻きで一護は再び撃沈。夜一さんに目的を諭され、漸く大人しくなったのだった。


「その空鶴って人、門を潜らずに瀞霊廷に入る唯一の手段を知ってる人なんだよね? そんな凄い人なら、もっと街の真ん中で皆にチヤホヤされて暮らしてても良さそうなもんなのにね」

「うん…それは確かにそうなんだけどね…」

「いや、それは無いのう。奴の性質でな、こういう場所を好むのじゃよ。人気の無い、閑散とした土地をな。
案ずるな。奴は住む場所はコロコロ変えるが、家だけはいつも同じものを作る。儂が見れば一目でそれと分かるやつだ」

「一目で…？」

「あぁ…おっ、見えてきたぞ。あれじゃよ」

「こ…」

「これは…！！」

「なっ、一目で分かるじゃろ？」


皆の視線の先には、何とも言えないクオリティと存在感を放つ空鶴邸もとい大空鶴腕。全員……特に一護と雨竜が唖然とする中、私は地味に、いかつくて良いなーなんて思っていたのは、内緒だ。


「フッ…今回の旗持ちオブジェは人の腕か…中々良い出来じゃの…」


他にも、『逆立ち』とか『チャンピオン』とか『初恋』とかあったよね……。個人的にはあの中だと、『初恋』が笑い的な意味で優勝だった。


「ほれ、どうした早く来ぬか」


しかし生だと更に凄いなーと思っていたら、頭上から「待てい！！」といかつい声が聞こえてきて、その上から金彦と銀彦が現れた。


「何者だ貴様ら！」

「奇っ怪な出で立ちをしておるな！ しかも一人は死神と見える！」

「怪しい奴らめ！ この金彦と銀彦が貴様らを決して通しはせぬ！」

「去れ！ さもなくば、ここで死ぬことになろう！」

「チッ…また門番かよ…面倒臭ぇトコだな尸魂界ってのは…」


一護が構えようとしたその時、金彦が一護の足元にいた夜一さんに気付き、「よ…夜一殿！？」と目を見開いた。

32.やっぱりカッコいいなぁ……！→←30.否が応でも一護をこの場から引っ剥がすから！

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