素直になれなくて、 (ページ9)

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『翔太さ、』

翔｢ん？なに？｣

『前、人のこと家に入れるのイヤって言ってなかった…？』

翔｢あー。イヤなやつもいる。でも、Aは大丈夫かな。｣

…それはどうゆう意味？

少しお酒が回ってきたのをいいことに思い切って聞いてみたけど、期待した答えが返ってくると、思わず照れる。

翔｢お前、顔赤くない？そろそろやめとけば？｣

『んー、まだ平気。これ、美味しいし。どうせ翔太飲まないでしょ？』

さっきの翔太の発言のせいなのか、お酒のせいなのかはわかんないけど、確かに顔が赤くなってる気がする。

でも、飲まないと緊張しちゃって、どうしたらいいかわかんないし。

翔｢ここで潰れられてもめんどいから。ほら、こっち飲んで。｣

パッとグラスを取られて、代わりに水を渡された。

火照った気持ちが、一気に冷める。

……“ここで潰れられてもめんどい” 、か。

そりゃそうだよね。彼女でもないやつが自分の家で潰れたらめんどくさいよね。

勝手に期待して、勝手に落ち込んで、めんどくさいな。私。

『…大丈夫だよ、潰れたりなんかしないから。でも、そろそろ帰るね。もう遅いし。日本酒美味しかった～ありがと。』

これ以上翔太の家にいたら気持ちがもたなくなりそう。

とっとと帰って、何も考えずに寝たい。

そう思って立ち上がろうとすると、くいっと腕を引っ張られて、バランスを崩してソファに逆戻り。

翔｢いや、帰れとは言ってないじゃん。てか、なにその顔。｣

『…は？どんな顔？』

翔｢……。｣

泣きそうな顔でもしてるんだろうか。

翔太が心配そうに見つめてくるから思わず目を逸らしたら、唇に何かが触れた。