素直になれなくて、 (ページ6)

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『浮気、されてた。バカだよね、全然気づかなかったよ。』

翔｢ふーん。｣

『…ねぇ、翔太、さっきから、ふーんばっか。そこは慰めてよ。』

翔｢は？やだよ。めんどくせぇ｣

『なにそれ！ひどくない！？』

傷心の同期を前にしてこんなこと言うなんて、こいつ鬼か。悪魔か。

翔｢だって、Aみたいなやつ振るなんて、どう考えてもその元彼がバカじゃん。

誰かに愚痴りたいんだったら、聞いててやるから。
相槌のクオリティまでは勘弁して。｣

…は、なにそれ。

この人、ツンデレ？

その後も、本当に翔太はずっと私の愚痴を聞いてくれた。

すごく好きだったこと。

結婚も考えてたこと。

“もう一生誰とも付き合いたくない”、なんて戯言も。

ふーん、とか、そっか、とか。

相変わらず素っ気ないけど、地味に相槌のバリエーション増やして。

表ではツンツンしてるけど、本当はすごい優しいんだな。

たくさん愚痴って、たくさん泣いたお陰で、元彼の思い出が風化していくのにそう時間はかからなかった。

でもそれは、

翔太ともっといたい、と思うようになったから、自然と忘れられたのかもしれない。