素直になれなくて、 (ページ32)

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『…っ！？』

貸切状態とはいえ、誰に見られるかもわからないこんな場所で。

『ん…、しょ、うた、、だめ、』

キスの合間に絶え絶えに呟いた言葉は、翔太には届かない。

どんどんと深くなっていくキスに、頭がクラクラしてくる。

…なんで。

なんで今さらキスなんか、

翔｢佐久間のとこ、いかないで。｣

唇から離れたと思ったら、今度は耳元で甘く囁かれる。

翔｢俺のそばにいて。｣

『……！なんで、今さら、、、』

翔｢…ごめん。でも、俺お前いなきゃ無理。

…って、泣かないでよ。｣

あーもう、って言いながら、ふわっと抱き寄せて背中をぽんぽんしてくれる。

久しぶりに翔太の匂いに包まれて、嬉しくて、涙が止まらなくて、胸がキュッとなる。

『ふっ、ぁ、ごめ、シャツ、汚れちゃ、』

翔｢別にいい。A、顔上げて。｣

せっかく翔太が親指で涙を拭ってくれたのに。

ちゅ、と重ねられたキスはまだ、涙の味がした。

翔太がこんなに愛おしそうに、私を見てくれる日が来るなんて。

思わず私から翔太の首に腕を回して、もう一度唇を重ねた。