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平日の中途半端な時間ということもあり、ほぼ貸切状態の車両。
さっきまでは楽しそうに見えた翔太も、黙って窓の外を見つめたまんま。
あーあ、翔太とはやっぱり友達には戻れないのかな。
どんな形でも近くにいたいなんて、虫が良すぎるか。
…もう、前に進まなきゃかな。
喋るのは諦めて寝ようと、シートをガタッと倒したその時。
翔｢…お前さ、佐久間と付き合ってんの？｣
え？
『え、あ、いや、付き合ってはない、けど…』
翔｢けど何？…好きなの？｣
…真剣な眼差しで私を見るその瞳は、何を考えているんだろう。
『好き、に、なりたい…かな。』
翔｢…なにそれ。｣
……いや、翔太にこんなバカ正直に話してどうすんだ。
“ごめん、今の忘れて。”
そう言おうとしたけど、言えなかった。
水平になった私のシートに覆い被さるようにして、翔太が私の唇を塞いだから。
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作者名：miracle | 作成日時：2021年5月1日 19時
