素直になれなくて、 (ページ4)

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翔｢はよーごさいまーす｣

定時10分前。

翔太が来ると、周りの女子たちの空気が変わるのがわかる。

そりゃそうだよな。

営業部期待のエースで仕事もできるし、かっこいいし。

フロアが違うのに、秘書課の綺麗な先輩が翔太に話しかけにくるのも日常茶飯事だ。

この取り巻きのキラキラ女子たちをモヤモヤ見つめながら、
寝起きはすっごくかわいいんだよ、とか、実はお母さんのことママって呼ぶんだよ、とか、私だけしか知らない翔太を並べて、心の中でマウント取ったりして。

…彼女でもないくせにこうやって自分を保とうとするの、性格悪いし、惨めだな。

ぶんぶんと邪念を振り払ってメールをチェックしていると、ピロンっと新規メールが届く。

“朝のTシャツ姿、めちゃめちゃエロかった”

ぱっと翔太へ目線を送ると、真面目な顔してＰＣと睨めっこしていて。

社内メールでこんなん送ってくるな。

“セクハラやめてください”

パパっと打って、送信ボタンを押す。

…こんなメールでも、翔太から送られてきただけで嬉しくなっちゃう私は、たぶん相当やばい。

些細なことで喜んで、落ち込んで、もうやめなきゃと思うのに、こうやってずるずると離れられない。

好きになった方の負けなんだよな、結局。