素直になれなくて、 (ページ26)

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涼｢いらっしゃいませ…って、翔太。どうしたの。｣

翔｢なにが？いつもきてんじゃん、」

涼｢…そうだね。ここ座って待ってて。｣

おぼつかない足で、背の高い椅子に腰掛ける。

あの後、家に帰る気にならなくて、涼太のバーに来た。

言われたとおりカウンター席で座って待っていると、はい、と差し出されたドリンク。

翔｢なにこれ、なんかあまい、｣

涼｢うん。アルコール分解に効くやつ。｣

翔｢は？おれ、さけのみにきたんだけど｣

涼｢翔太、明日も仕事でしょ。今日の分のドリンクは、また今度作るから。｣

ベロベロに酔った俺を見ても、特に何も聞いてこない涼太。

…まぁ、こいつのことだから色々気づいてるんだろうけど。

最近、Aと一緒に来なくなったし。

ていうか、Aは本当に、佐久間を選んだの？

俺以外とはシてないって言ってたし、こんなA見られるのは、こんなに甘ったるい目で見られてるのは俺だけなんだって思ったら、会う度に満たされて。

こないだだって、蕩けた目で俺のこと見て、手繋いだら嬉しそうにしてたじゃん。

…なのに、何で、、、

涼｢翔太、さ。｣

翔｢…あ？｣

涼｢翔太はかしこいから。本当は自分がどうしたいのか、どうすべきなのか、わかってるでしょ。

大丈夫。俺は、翔太の味方だよ。｣

…なんだそれ。

俺のことわかってる、みたいな口ぶりに笑ってしまう。

いやでも、実際わかってんだよな。

正直、この距離感がちょうど良かった。