素直になれなくて、 (ページ22)

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『クラゲ、きれいだね…すごい…』

大｢ほんと幻想的だよなー。なんか、俺らまで宙に浮かんでるみたいだよね。｣

目の前をふよふよと浮遊するクラゲに目を奪われる。

水槽の目の前にある半個室のような空間に並んで、ぼーっとクラゲを眺める私たち。

これ、ずっと見てられるかも。

大｢…あのさ、Aちゃん。クラゲ見ながらでいいんだけどさ、｣

『ん？どーしたの？』

大｢……首のそれ、翔太につけられたの？｣

……え。

幻想的な世界から、一気に現実に引き戻される。

キスマークを隠しきれてなかった焦りと、さっくんにも翔太との関係知られてたんだ、ってゆうバツの悪さに思わず下を向く。

大｢ごめんね。Aちゃんが選んだ道なら応援しようとも思ってたんだけど。

……翔太、Aちゃんとは付き合うとかじゃないし、Aちゃんが彼氏作るならそれでいいって言ってて。｣

『…っ、、』

大｢Aちゃんはさ、翔太のこと好きでしょ。俺、このままAちゃんが傷つくの見てるの、イヤで。｣

…あぁ。こんな形で、現実を突きつけられるなんて。

翔太が私と付き合う気がないって知ってたけど、

これだけショックを受けるってことは、全然わかってなかったんだな。

翔太の特別になれたかも、なんて浮かれてた自分がバカみたい。

あんなに求めるように抱かれて、街中で手を繋がれて、もしかして、、なんて思ったのは、全部ぜんぶ勘違いだったんだ。

数分前に、

大｢クラゲって、死ぬと溶けちゃうんだって｣

って教えてくれたさっくんの言葉がふと浮かんで、私もこのまま溶けてなくなりたい、と思った。