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『ねぇ、辰哉、ちょっと、離して!』
私の手を引いて、どんどん進んでいく辰哉。
いつの間にか、映画館の駐車場に着いていた。
コンクリートに囲まれた空間に、私の声が響く。
辰「…ごめん、無理やり連れてきて。でも、A、こうでもしないと俺の話聞いてくれないと思って。」
『話すことなんて、ないもん、、』
辰「俺はある。A、ずっと俺のこと避けてるでしょ。なんで?」
なんでって、、
自分に聞いてみなよ。彼女いるのに手出そうとしたのは、そっちじゃん。
辰「俺ね、死ぬほど考えたの。でもわかんなくて。Aに避けられてたこの1年間、すっげー辛かった。
嫌な思いさせたなら、謝るから。」
『…謝ってほしい訳じゃないもん。』
視界がにじむ。
この1年間全然忘れられなかった辰哉が目の前にいて、楽しかった思い出と、あの日の記憶で頭がぐちゃぐちゃになる。
逃げちゃいたいのに、私の手を掴んで目線を合わそうとしてくる辰哉から、逃げられない。
『…もう私のことなんていいじゃん。それとも何、麻美ちゃんにフラれたの?』
辰「は?なんで麻美ちゃん?」
『だって、2人付き合ってたでしょ。それなのに、私に手出そうとしたじゃん。バレてないとでも思ったの?』
辰「…A、何言ってんの?あの子と付き合ってなんてないけど。」
『っ、嘘。だって、ベッドに麻美ちゃんのピアス落ちてたし、大学が休みの時だって、2人で会ったりしてたじゃん。』
辰「・・・まじで?それで、俺のこと避けてたの?」
もうやだ。
顔を上げられなくて、涙がぽたぽた垂れて、コンクリートに滲んでいる。
辰「ねぇ、A。俺の目見て」
顎をクイッと持ち上げられて、無理やり目が合う。
こんな泣いてる顔なんて、見せたくないのに。
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作者名:miracle | 作成日時:2021年3月21日 14時