幼馴染の君に恋をした３ (ページ26)

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だんだんとツリーの前から人が居なくなってきた頃。

『そろそろ終わりかなぁ。』なんてぼんやりと思う。

繋いでいる手は、もう紫耀と変わらない温度になっていた。

廉『…もう少し一緒に居たい。』

なんて思っていても、その言葉が口から出ることはない。

俺達の前に居るカップルは、彼女が彼氏の腕にしがみつき、『まだ帰りたくない〜！』とごねていた。

彼氏は彼氏で、『じゃあホテル行くー？』などデレデレ笑っている。

俺にはあんな大胆な事は出来ない。

ただ少しでも気持ちを伝えたくて、俺はキュッと紫耀の手を握った。

その直後、紫耀は俺の方に体を向ける。

紫「あのさ、一緒にご飯食べない？」

そしてこう言った。

俺はあまりにビックリして、思わず黙る。

紫「いやその実はさ、予約してるんだよね。」

紫耀は少し緊張したような顔で続ける。

動揺が収まってきて、俺は口を開いた。

廉「全然ええけど。」

俺の言葉を聞いて、紫耀は安心した顔をする。

廉「てか、紫耀こそ大丈夫なん？」

紫「今日、両親もデートしてるから。」

廉「そっか。」

紫「じゃあ行こっか。」

そう言って紫耀は俺の手を引く。

廉『まだ一緒に居られるんや。』

俺はまだある手の温もりに嬉しくなった。

紫「ここだよ。」

廉「へ…。」

紫耀が立ち止まったのはどう見ても、高そうなお店だった。

予約と言ったとき『？』とは思ったがここまでのお店とは。

廉「紫耀ここどうやってとったん。」

紫「実はさ、バイトしてたんだよね。」

廉「バイト！？」

紫「そう、今日のために。」

廉「ってことは、俺の為にバイトしてお金稼いでたん？」

紫「そうだよ。」

紫耀は照れ臭そうに笑う。

紫「廉が喜んでくれるかなって思って。」

廉『何やねん…それ。』

紫「結構俺頑張っt…」

俺は外だと言う事を忘れて、思わず紫耀に抱きついた。

紫「れっ、廉…！？」

廉「俺の為にありがとな。」

俺は腕に力を込める。

すると、ふわっと紫耀の匂いがして次の瞬間には抱きしめられていた。

俺は紫耀の厚い胸板に顔を押し付けて、目を閉じる。

廉「好きやで。」

紫「俺も。」

ゆっくりと身体を離すと、ふわりと紫耀は笑って言った。

そして俺に手を差し伸べる。

俺はその手を取ると、紫耀とレストランに入っていった。