幼馴染の君に恋をした３ (ページ20)

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廉side

文化祭は無事大成功で終わった。

全ての片付けを終えると、俺はスマホにメッセージが届いていることに気づく。

メッセージを確認すると、父さんからだった。

廉父『話があるから紫耀くんを連れて家に来なさい。』

俺はつばを飲み込む。

ついにこの時が来た。

俺はゆっくりと紫耀のもとに行く。

紫耀は俺の顔を見た途端すべてを察したのか、一度頷くとすぐに帰りの支度を始めた。

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家の前につくと、俺は足を止めた。

自然と体に力が入る。

メッセージからは、ただ文字が並べてあるだけ何も感情が読み取れない。

あれだけ紫耀から勇気をもらったはずなのに、いざ目の前になると不安が煽る。

俺がなかなか一歩を踏み出せないでいると、スッと横から手が伸びてきた。

その手は俺の手を優しく包む。

”大丈夫だよ”なんてありきたりな言葉は言わずただ黙って。

けれど,言葉はなくても俺には紫耀の優しさや強さが伝わってくる。

俺は一度大きく息を吸うと玄関の扉を開いた。

扉を開けると母さんが部屋から出てきて、俺らをリビングに通す。

リビングでは父さんが座っていた。

廉父「二人とも座って。」

父さんに言われた通りにすると、父さんはゆっくりと話し始めた。

廉父「あのな、父さんが反対したのは理由があるんだ。偏見とかそんなものじゃない。」

廉父「…実は父さんの親友もちょうど君たちと同じ年齢の時、同性同士で付き合っていたんだ。俺は心から応援していたし、幸せになって欲しいと思ってた。でも…。」

その顔を見て俺はこのあとの展開を悟った。

けれど黙って話の続きを待つ。

廉父「社会人になってしばらく経った日、親友から連絡がきた。何気なく電話をとると親友は彼氏と別れたと泣きながら言った。」

廉『あぁ、やっぱり。』

俺は静かに胸を痛める。

廉父「会社で男と付き合っているのがバレてお互いのことを考えて別れたんだって親友は言ったよ。でも最後に彼は一言、まだ好きなのにって言葉を漏らした。」

きっとよくあるような話なんだろう。

これは同性同士に限ることでは無い。

けれどなんとなく現実を見せられた気がした。

そして自分がどれだけ恵まれた環境にいるのかも、改めて気がついた。