幼馴染の君に恋をした３ (ページ8)

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廉side

さっき衣装係の子に渡された衣装を見て、俺は思わず笑ってしまう。

廉「スゲーな。どうやって作ったんこれ。」

俺が衣装を見ていると、紫耀が教室に入ってきた。

紫耀も俺と同じで、思ったよりも完成度の高い衣装に戸惑っているようだった。

紫耀が衣装を着る音がしはじめ

俺も衣装に腕を通す。

けれど、困ったことに背中のチャックがしめられない。

俺はとりあえずかつらを被り、どうにかしようと上げられるところまでチャックを上げる。

でも、やっぱり完全にしめることは出来なかった。

紫「廉、大丈夫？俺着替え終わったけど。」

仕方ない。

紫耀に頼むしかないよな。

俺は紫耀の方へ体を向けた。

廉「…あの、しょ紫耀。」

紫「ん？」

廉「ちょっと、助けてくれんか？」

紫「何すればいいn…っ！！！」

紫耀の振り返った気配がして俺は顔をあげる。

廉「っ！！！」

そこには目を丸くして驚いている紫耀がいた。

けれど驚いたのは俺も同じだった。

廉『似合いすぎやろっ…。』

紫耀が着ているのは、紺色で金色の糸で刺繍がほどこされている確かに王子様らしい衣装。

きっと、ほかの男子が着たら衣装負けしてしまうような服だった。

でも紫耀にはとても似合っていて、一言で言えばとてもかっこいい。

紫「…えっと、廉？なっ、何をしたらいいの？」

廉「あっ。ごっごめんな。」

思わず紫耀に見惚れてしまい、俺は紫耀に助けを求めた目的を忘れてしまった。

俺は慌てて後ろを向く。

廉「背中のチャックが上手くしめられなくて。だからしめてくれんか？」

紫「わかった。」

俺はかつらの毛が挟まらないよう、左肩にまとめてかけた。

紫「…しめるね。」

紫耀がゆっくりと背中のチャックをしめる。

廉『なんかこれドキドキしてまうわ。』

顔が見えないぶん、紫耀の息遣いがやけに大きく聞こえてしまう。

紫「終わったよ。」

廉「あっ、ありがとな。」

俺はお礼を言うために紫耀の方を振り返る。

廉『えっ…！』

紫耀の顔は赤く染まっていた。

廉「紫耀顔赤い。」

紫「ちょっ、こっちみんなよ。」

紫耀は手で顔を隠す。

紫「てか廉のせいだからなっ。」

廉「え？」

紫「…好きな人の何も着てない生の背中見て、興奮しない男なんていんのかよっ。」

廉「っ///」

紫「ほらっ、早く体育館行くぞ！」

紫耀は照れ隠しなのかぶっきらぼうに俺を呼ぶ。

その言葉に俺は笑顔で頷いた。