キミは蜂蜜色。【矢口八虎】 (ページ1)

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昔から絵を描くことが好きだった。

どちらかと言うと人見知りで、おとなしかった私。

喋ることが、あまり得意じゃなかった。

　
だって、私の言葉が誰かを傷つけてしまうかもしれないから。

何か言葉を発して、それに対する答えで私自身も傷ついてしまうかもしれないと思うと、怖かった。

　

その点、絵は良かった。

表現したいことを、そのままに伝えられる。

絵は音のない言葉で、臆病な私にはぴったりだった。

　
絵を描くと、周りから「すごいね」と褒めてもらえるのも、嬉しかった。

それから月日は流れて、私も高校二年生。

今は学校の美術部に所属しつつ、受験に向けて予備校に通っている。

予備校と言っても、普通の予備校ではない。

美術の予備校だ。

東京藝術大学。

国内唯一の国立芸大で、ある意味東大よりも難しいとも称される超難関大学。

その狭き門を潜るために、私は東京美術学院という予備校に通っている。

　
そして、そこで出会った＂彼＂。

髪色が派手で、ピアスもしてて、怖い人なのかと思ったら

彼の描く絵はとても真面目で、でも彼の世界がきちんと見えるようで、

私はたちまち、＂彼の世界＂に溺れてしまったのだ。

　

これは、

私と彼が出会って、青春を全力で駆け抜けて、
時に立ち止まりつつも同じ道を歩いていく

そんなお話。

　