シゲアキさんの嫉妬 (ページ13)

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Aside

「歩ける？」

肩を貸してくれ、リビングへ。

「そこのソファに座ってて。今湿布とか持ってくるから」

促された通り、ソファをお借りする。

増田さんを待っている間、
部屋の中を見渡してみるけれど、

男性の一人暮らしとは思えないほど
綺麗に整頓されている部屋。

きっと彼女になったら大変なんだろうな、
とか思ったりする。

「お待たせ」

手には救急箱らしきもの。

「すいません…色々ご迷惑を…」

「いいのいいの、俺がしたくてしてるんだから」

笑顔で言う増田さん。

足首に湿布を巻いてくれた後、

「あ、血…」

「え？」

「血、出てる」

見ると私の膝から僅かな出血が。

「消毒しなきゃ」

「いや…そんな大げさな」

「ダメだよ、染みるけど我慢してね」

「え、…痛っ！！」

「もう一回、我慢ね」

「んっ……、あっ」

痛みを耐えて、つい変な声が出てしまう。

急に変わる空気感。

「……どうしました？」

増田さんの目はさっきとは違い、
完全に “男” だった。

私を見つめたまま、無表情で。

「ズルいわ～」

「え？」

「そんな声出されたら、もっと鳴かせたくなるじゃん」

「なかせたく…？」

言葉の意味が分からなかった。

そんな私をよそに
彼は絆創膏を傷口に貼ってくれる。

けれど。

緊張する空気感はそのままで。

なんか私、ヤバいことしたかな。

ここは早いうちに帰ろう。

「あの、ありがとうございました。このお礼は今度改めて…」

「待ってよ」

低い声で呼び止められる。

やっぱり怒らせちゃった？

でも

彼を見ると

あれ？

さっきの空気が嘘のよう。

笑顔の増田さんがいた。